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業界レポート3月号① Vol.76

  • 3月2日
  • 読了時間: 4分

更新日:3月3日



本レポートでは、オークネット会員様のビジネスのお役に立てますよう

大きなターニングポイントに差し掛かっている自動車産業にフォーカスした情報をタイムリーにお届けします。


執筆・編集:特定非営利活動法人 自動車流通市場研究所 理事長 中尾 聡


1 自動車流通のトレンド


【1月の新車販売実績からみた26年の厳しい見通し】


 先頃、26年最初の新車販売台数が発表されました。それによりますと1月の登録車と軽自動車を合わせた新車販売台数は、前年同月比2.3%減の36万7748台となりました。ここ2年間、新車販売は低迷し、本来であれば26年は3年振りの回復を期待したいところでしたが、スタートから躓いています。今回は過去8年間の1月実績と直近1年間の月間推移から、改めて1月の実績を分析したいと思います。


【26年1月の新車販売は下降傾向となった25年下期からの流れを変えられず】


 かつて1月と言えば、年間最大の需要期に差し掛かる時期であり、年明けの“初売り”から活気づいて、月間で40万を超えていたのですが、コロナ禍以降は30万代が定着し、コロナ禍から回復を遂げた23年1月でも40万には届いていません。それでも昨年1月は前年の認証不正問題による減少から立ち直り、今年はさらに上回って、23年実績に近づくかと期待していたところ、期待に反して逆行しています。

 とは言え、その期待が現実的ではないことは、表①の直近1年間新車販売台数増減比の推移から見て取れます。昨年は年明けから新車供給が正常化し、大きく前年を上回ってスタートしましたが、その勢いも半年だけで、7月以降は半導体不足による減産や長納期化の問題によって、前年割れが続いていました。12月はわずかに上回ったものの、その低調な流れが続いていましたので、1月はその流れに合った実績であったと言えます。


表① 直近1年間の新車販売台数増減比 月間推移

出所:一般社団法人 日本自動車販売協会連合会


 それでは、もう少し1月実績を深堀りしてみたいと思います。表②の1月の登録車販売台数は前年同月比4.2%減の22万8832台(表②注①参照)でした。新型車が少なかったブランドが多く、盛り上がりに欠けていました。そうした中でも、スズキはSUV「ジムニー」シリーズの納車が進んだことなどで同比25.4%増の1万5873台と大幅な伸びをみせており、日産(同比17.2%減の1万9318台)に迫っています。一方、軽自動車は1月の届け出台数が同1.1%増の13万8916台(表②注②参照)と2カ月連続で増加しています。これはダイハツの「ムーヴ」や日産の「ルークス」、三菱の「デリカミニ」などの新型車がけん引しています。要するに、こうした新型車の差が1月の実績に反映されたようです。今年も登・軽とも新型車投入の予定がされていますが、正式な発表から販売まで、どれだけタイムラグを短縮できるかが、今後注目されるところです。


表② 過去8年間 1月の新車販売台数実績推移

出所:一般社団法人 日本自動車販売協会連合会

   

 25年の新車輸出は、輸出全体の3割強を占める米国向けでトランプ関税の影響を大きく受けた一年でした。台数こそ、前年を辛うじて維持しそうですが、収益性は大きく悪化しました。追加関税分を現地販売価格に転嫁することができなかったため、それをコストとしてメーカーが自社で吸収し、利益率は大幅に低下しています。ただ、円安により多少はマイナス分を補填できたかとは思われます。

 このように利益を削ってまで台数維持に走ったことから、決算上は「売上維持・利益減少」という構図となり短期的には評価しづらいですが、長期的な戦略としては、米国市場は依然として日本メーカーにとって最大の収益源であり、台数を下げると販売網やブランド力が弱まり、将来の回復が難しくなるため「守りの戦略」としては合理的であったと評価できます。こうして存在感を維持したことで、市場ポジションを守り切ることはできました。


【厳しい市場環境の中でもEV(電気自動車)は飛躍的な拡大】


 前述した長納期化の問題についても、まったく解決されていませんが、それを示すデータとしては、登録車トップのトヨタの「ヤリス」が前年同月より31.2%のマイナス、4位のカローラが34.4%のマイナス、5位のアルファードが20.3%のマイナスで、これら上位3車種の1月実績をみても明らかではないでしょうか。

 以上のように1月は厳しい結果に終わりました。しかし、その中でもクリーンエネルギー自動車(CEV)補助金の見直しの恩恵を受けて、EVが飛躍的に販売台数を拡大させました。絶対数は少ないものの、同比42.7%増の6511台が販売されています。特に昨年10月の大幅改良で航続距離を延ばしつつ、値下げして商品力を大幅に高めたトヨタの「bZ4X」は1651台(前年同月の約30倍)販売しました。また、米テスラなどの輸入車も好調のようです。今後も、日産「リーフ」やスズキ「eビターラ」の登録が本格化し、販売台数をさらに押し上げると思います。


ここがPOINT!

 EVが飛躍的な拡大を遂げたとは言え、比率にするとわずか2.1%で、(前年同月は1.4%)全体に及ぼす影響は限定的です。そして改めて1月実績を全体で見渡してみますと、依然として供給制限の解消は難しいようです。そういったことから今年も厳しい一年が予想されます。


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