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プジョーRCZ①【思い出の車列伝】

13 時間前
読了時間: 4分



わずか5年で幕引き

美しきクーペ


●プジョーRCZ

短期間しか生産されなかったプジョーRCZ。

しかしその造形美と独創性は今も色褪せない。

2年ほど前からRCZを所有されているという

テリー伊藤さんは、

この車に何を感じたのでしょうか。

Interviewer: Koichiro Okamoto (Motor Joumalist)

Photographs: Katsuaki Tanaka

造形美が示すフランスの心


RCZを初めて見たとき、まずデザインに圧倒された。日本で似た雰囲気のクルマといえばホンダCR-Zくらいかな。でもRCZはもっと大胆で、もっとセクシーだよね。

 屋根からリアウインドーにかけて中央部がくぼんだ独特のダブルバブルルーフは、スープラにも通じる造形で、今ではほとんど見られない。それから両脇のシルバーのライン、こんなデザインなかなか見ないよね。EV時代になれば、こうした遊び心のあるクーペはますます消えていくと思うよ。だからこそ、RCZは今の時代貴重な存在なんだ。

 中古車市場では100万円台で手に入るのもいいよね。自分が買ったのも2年ほど前で、100万円ちょっとだった。走りはピーキーで、軽快。小田原の販売店で試乗したとき、近所をちょっと走らせてもらっただけで「こんなにいいのか」と驚いたよ。直進安定性だけじゃなくて、足回りの硬さが心地よい。フランス車は石畳を走る文化があるから、足が少し硬めに作られている。そこがまた〝おしゃれな乗り味〟につながっているよね。

 かわいいしセクシーだから本当は俺が乗るよりも、かわいい女の子に乗ってほしいよ。日本でいえばカローラ、今ならヤリスかな。高級車じゃなくて、RCZに女の子と乗ってるほうが青春っぽい感じがしていいな、なんて思わせるクルマだよね。

 プジョーには昔から良いイメージがあるんだよ。25年以上前、並行輸入で手に入れた新車の106ラリーに乗っていたことがある。白いボディーに白い鉄チンホイール、ライトは霧対策で黄色。マニュアルで、クラッチも軽くて、すごく楽しいクルマだった。これが俺にとってのプジョーの原点。4年くらい乗っていろんな所へ行ったけど、乗り過ぎて腰が痛くなったから、運転席だけレカロのシートに変えたような気がするな。そんな残像が俺の中にあって、プジョーの車イコール、おしゃれ、憧れなんだ。だから〝プジョー〟という響きそのものに好印象があったし、RCZを見たときも自然と引かれたんだよね。


リーズナブルな美しきクーペ


RCZは小さく見えるけど幅が1845㎜と意外にワイド。でも許容範囲だし、車重は1390㎏ほどで軽快。1.6Lターボのエンジンは扱いやすいし、街でも高速でも気持ちよく走れるよね。もしこのクルマが今も新車で売られていたら、どれほどの値段になっていたんだろうね。安全基準や装備の義務化で、車重も重くなっちゃうのかな。その結果、価格も跳ね上がるはずだよね。だからこそ、今の中古価格は〝奇跡的にお得〟だと思うよ。

 購入時に注意したいのは、フランス車特有の樹脂のベタつきやライトの曇り。ここをしっかりチェックして、必要ならきれいに仕上げたほうがいい。購入価格が安いぶん、仕上げにお金をかける価値があるよ。ライトが濁っていると一気に古びて見えるけど、磨けば驚くほど美しくなるからね。やっぱりフランス車はエレガントに乗りたいから、ある程度お金出してもちゃんときれいにした方がいいよね。

 RCZは、むろん誰もが知っているクルマじゃない。だからこそ、街で乗っていると周囲が驚くよね。仲間内でも「これ何?」と聞かれる。ポルシェの中古が2000万円、3000万円する時代に、100万円台でこんなに美しいクーペに乗れるんだから感謝しかないよ。高級車に比べたら理不尽なほどの価格差だけど、RCZに乗っている人のほうが〝車を知っている〟と感じることすらあるよね。

 若い女性やエレガントなマダムが乗っても絵になるし、田園風景に置いてもモダンに映える。10年、20年、30年と時を重ねるほど輝きを増すクルマだと思うよ。もし良い個体に出会ったら、迷わず手に入れてほしいね。RCZは、時代に翻弄されながらも美しさを失わない、そんなエレガントなクーペだよ。


歴代RCZをご紹介!


プジョーRCZの変遷


●前期型(2010年~2012年)

2010年プジョー初の本格スポーツクーペとして登場。 特徴的な“ダブルバブルルーフ”と流線形のボディーラインは、コンセプトカーの造形をほぼそのまま市販化した大胆なデザインだった。また、プジョーとして初めて数字を車名としない車種だった。



プジョーRCZ ONYX(写真左)とプジョーRCZ Brownstone(写真右)


●後期型(2013年~2015年)

2013年の大幅フェイスリフトで、フロントマスクが一新。 よりシャープで現代的な顔つきとなり、スポーティーさが強調された。 LEDライトをはじめ内外装の質感向上や装備の充実も図られ、完成度が高まった。



プジョーRCZ R(写真左)とプジョーRCZ GT Line(写真右)


オークマン2026年10月号掲載記事

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