フォード・ブロンコ②【思い出の車列伝】
- 6 日前
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時代とともに進化
現行車は中型SUV
●フォード・ブロンコ
生産終了から25年の月日を経て復活した
フォード・ブロンコ。
約60年の歴史を誇るThis is アメリカン
ともいえるこの車の足跡を、
モータージャーナリストが解説します。
Text : Koichiro Okamoto(Motor Journalist)
コンパクト4WDで始まり
いきなりフルサイズに変貌
かつては軍用車となる4WD車を生産していたフォードが、レジャー人気が高まった1960年代にそのノウハウを生かして開発し、66年に送り出したのが初代ブロンコだ。
「どんな場所にも行けて、何でもできる」という都会派をうたう本格的な悪路走破性を持ったオフローダーであった。
コンパクトなサイズで四角四面のボディーに丸目のライトが特徴の初代は、のちに「アーリーブロンコ」の愛称で呼ばれるようになる。
車体形状は2ドアクローズドボディー、ロードスター、ピックアップトラックの3つのバリエーションが存在し、エンジンは直6とV8がチョイスできた。
初代は途中、エンジン出力などに多少の変更はあったものの、基本コンポーネントを変えることがなく、事情により少し延びて77年式まで生産されたが、後年は並み居る競合車たちに押されて販売的には苦戦を強いられていたという。
そんな背景もあって、2代目は一気にフルサイズに拡大された。この世代以降は「ビッグブロンコ」の愛称で呼ばれるようになった。
当時のフルサイズピックアップであるフォードF-100のフレームをベースとするショートホイールベース版で、エンジンは排気量の異なる2種類のV8がラインアップされた。
フルサイズ化が功を奏してライバルをしのぐ販売台数を見せ、事情によりわずか2年間と短命に終わったものの、18万台を販売したという。
3代目は2代目のキープコンセプトだが、内容的には一新され、わずかに小型化と軽量化を果たしたのが特徴となる。
この頃、よりコンパクトなSUVを求める声に応えるべく、弟分の「ブロンコⅡ」が84年にラインアップされた。同車の流れは、91年登場のエクスプローラーに受け継がれていく。
以降ブロンコはピックアップのF-150のSUV版という位置付けで、87年と92年にフルモデルチェンジを果たすが、96年に4ドアのフルサイズSUVであるエクスペディションにバトンをわたす形で生産終了となった。
初代をオマージュした容姿
時代に合わせた内容に進化
フォードは2017年の北米国際オートショーで、20年にブロンコを復活させると発表。19年3月にプロトタイプが完成し、翌20年7月に発表され、21年6月に生産が始まった。
歴代モデルと比較すると車体は小さくなり、ブロンコ史上で初めて中型SUVとなったが、ラダーフレームを持つ本格的なクロスカントリー車という位置付けは堅持している。
ボディーは4人乗り2ドアの他、ブロンコ初の5人乗り4ドアもラインアップされ、ドアやルーフを取り外すことができるなど、クロスカントリー車らしいつくりとなっている。
生産終了から25年のうちに世の中が大きく変わったことを受けて、エンジンにV8の設定はなく、搭載されるのはいずれもエコブーストの2・3L直4シングルターボ、2・7Lと3・0LのV6ツインターボというラインアップとなる。トランスミッションは7速MTと10速ATが選択できる。
また、かつてのブロンコⅡの再来というべきブロンコスポーツも同時にデビューした。こちらはモノコックボディーの都市型クロスオーバーSUVであるフォード・エスケープをベースにブロンコの名を冠するにふさわしいデザインとしたバージョンで、FFベースのドライブトレインに、エンジンもエコブーストの1・5L直3と2・0L直4という小排気量が搭載された。
2台ともフォードが日本市場から撤退しているため正規輸入はないが、もし正規輸入されていたら、デザインといいサイズといい、それなりに人気を博したように思えてならない。
モータージャーナリストの視点!
アーリーブロンコの相場は少し前までそれほど高くなかったのに、今や800万円超えが当たり前だ。その価値があらためて見直されたということだろう。その後のビッグブロンコは、流通量が極めて少なく、それほど相場は高くないがぜんぜん値落ちしていない。こうしたネオクラシック世代の大柄で大排気量な車の希少価値の高さゆえだろう。復活した現行の6代目も、日本に並行輸入された新車同様の個体は1500万円超のプライスタグが付けられているものも珍しくない。
各世代のウリはここだ!
●初代
(1966年~1977年)

小柄な都市型オフローダーのアーリーブロンコ
● コンパクトなサイズ
● ピックアック、ロードスター、
ワゴンを設定
● 直6とV8エンジンを設定
初代ブロンコのシート構成は、ベンチシートのみ、シングルバケットシート、ツーバケットシートのみ、そしてリアベンチ付きバケットシートなど選択肢が多かった。リアシートのないベンチシートまたはバケットシート仕様の車両には、シートの後ろに隔壁が設けられ、後部に荷室が確保されていた。また、スポーツパッケージ、レンジャーパッケージなどスタイルと快適性を損なうことなく、特にアウトドア愛好家のために設計された数々の特別仕様車も発売された。
中古車小売り価格帯 700万円~2000万円 |
※レストア度合いで数倍の差。フルカスタム車は2000万円超えも。
●2代目~5代目
(1978年~1996年)

フルサイズに移行してビッグブロンコへ
● 2代目はわずか2年で18万台を販売
● 2代目から3代目にかけて
小型軽量化
● 4代目で電子制御燃料噴射化
写真は5代目。この世代のブロンコは美しいスタイリッシュなデザインでも人気を博したが、その耐久性、そしてオフロード性能においても確固たる評判を築いていた。実際、アメリカ森林局のレンジャーや国境警備隊員に、しばしば選ばれる車両だったという。また、この世代では安全性も大きく向上した。1992年には後部座席乗員用の3点式シートベルト、93年には4輪アンチロックブレーキが採用され、94年にはステアリングホイールにエアバッグが装備された。
中古車小売り価格帯 250万円~650万円 |
●ブロンコⅡ
(1984年~1990年)

ブロンコの弟分として存在感を発揮
● 初代ブロンコ相当のサイズ
● 2ドアワゴンのみ
● エンジンはV6のみ
フルサイズボディーだったブロンコを補完する弟分として、1984年にコンパクトボディーの4WD、ブロンコⅡが番外編のごとくラインアップされた。ボディーサイズは初代ブロンコクラスで、ボディーバリエーションはなく、2ドアモデルのみ。エンジンもV6だけだった。89年にマイナーチェンジが実施されたが、変更はフロントマスクと内装の充実が主で、その他は小変更にとどまっていた。90年に生産が中止され、このブロンコⅡの流れは翌年登場のエクスプローラーへと引き継がれた。
中古車小売り価格帯 150万円~350万円 |
●6代目
(2021年~)

25年ぶりにミドルサイズで復活
● 初めて4ドアを設定
● ルーフやドアを取り外し可能
● 従来のブロンコⅡに相当する
「スポーツ」を設定
2021年、25年ぶりに復活したブロンコ。とはいえ5代目までのフルサイズブロンコの流れをくむものではない。初代モデルの「G.O.A.T. (Goes Over Any Type of Terrain)」コンセプトを継承し、そのコンパクトな4WDをオマージュしたようなブロンコ史上初の中型SUVだ。ボディーは4人乗り2ドアの他、ブロンコ初の5人乗り4ドアもラインアップされた。また、本格的なクロスカントリー車として、オフロード走行を重視した最新技術が多数組み込まれている。
中古車小売り価格帯 800万円~1800万円 |
※日本未導入(並行輸入)のため、輸送費・円安の影響で高額。
写真提供:Fordimages.com © Ford Motor Company
オークマン2026年5月号掲載記事

