BMW02シリーズ①【思い出の車列伝】
- 6月1日
- 読了時間: 4分

通称マルニと呼ばれた
憧れのドイツ車
●BMW02シリーズ
まだ車に関する経験値が少なかった
若かりし頃の伊藤さん。
それでもBMW02シリーズの
足回りや快適さには驚いたといいます。
そんなマルニの思い出を語ってもらいました。
Interviewer: Koichiro Okamoto (Motor Joumalist)
Photographs: Katsuaki Tanaka
足回りとシートの良さが
日本車よりも際立っていた

高校の同級生が2002(マルニ)に乗っていたんだ。もちろん自分で買ったわけじゃなくて家のクルマだけど、印刷屋の息子でね、当時は羽振りが良かったんだろうね。
といっても、そんなに驚くほど高価じゃなかったはずだよ。クラウンよりちょっと高いぐらいだったんじゃないかな。
この頃はBMWって「ベー・エム・ベー」だから、みんな「ベンベ」って呼んでたよね。当時すでに日本ではけっこうメジャーだったよ。
その友達が乗っていたのは「2002tii」という、みんなの憧れの高性能版だ。グレーでかっこよかったよ。
見れば分かるように本当に基本に忠実なセダンフォルムがいい。このボクシーな形っていうのは、もうセダンの典型だよね。
大学生になってからも、その友達とはつるんでいて、他の友達もさそって、まあほとんどは日本車だったけど5~6台で箱根に行ったり、軽井沢に行ったり、 あとは銚子のほうに行ったりしたけど、だいたい途中5分の1ぐらいは舗装されてなくて砂利道だったよ。
碓氷峠だって、今ある広くて快適なバイパスなんてなくて、曲がりくねった旧道しかない頃の話だ。あとは首都高速もよく仲間と走っていたよね。
そういう道を走っても安定しているし長時間走っても疲れない。足回りがいいんだな、やっぱり全然違うんだなっていうのが如実に分かった気がしたよ。
たまに僕も運転させてもらったけど、他人のクルマでしかも高級車だからムチャな走りなんてもちろんしないし、横に乗せてもらっただけでも良さは分かったよね。
それとシートが良かったんだ。都内で走ってる分にはあんまりシートなんて気にしないじゃない。でも足回りとの相乗効果で、碓氷峠のコーナーで身体が無駄に動かないんだよ。日本車だとあっちこっちもってかれちゃうのに。当時はシートベルトをしてないからなおさらよく分かったよね。
日本車とドイツ車の違いなんて、まだ若くて経験不足だし、よく分からなかったけど、しかるべき場所を走るとやっぱり分かるんだよね。
あとはエンジンの吹け上がりも音も良かった。この当時から今でも言ってる〝駆け抜ける歓び〟はすごくあったよね。
左ハンドルがステータス
2002は人気があった
ハンドルは右も選べたけど、もちろん左。なんでかっていうと、左ハンドルだと街を歩いてる女の子に声かけやすかったから。それに左ハンドルのほうが外車に乗ってるっていうステータスが分かりやすいから。オレは外車に乗ってるんだぞっていうね。今とは世の中が違ったんだよ。2002は女の子にもなかなか人気あったよ。
当時はメルセデスに乗ってるのはモダンなお金持ちの人。BMWはやっぱりスポーティーさを求める人だったんじゃないかな。メルセデスも買おうと思えば買えるんだけど、あえてちょっと控えめにというかね、なんかちょっとボーイッシュな感じがしていたよ。当時からデザインはいいし、やっぱり走りのイメージあったよね。
あとはアウディとかオペルもけっこう走っていた。やっぱり当時から日本ではドイツ車の人気は高かったんだよね。
ところで、2002といえばターボも思い出すよね。市販車初のターボ車。実は何年か前に取材で乗ることができたんだよ。ちょっと軽く走らせてもらっただけだけど、粗削りな中にもなんだか熱いものを感じたものだよ。あのたたずまいもいいよね。
ターボが出てしばらくして、2002は初代3シリーズに変わった。このとき、本国には丸目2灯もあったけど、日本仕様は丸目4灯になったんだ。ボディも2002ほど真四角な感じじゃなくなった。どうして4灯が出てきたかというと、アメリカ人が好きだからなんだよ、きっと。でも個人的には2002の丸目2灯のほうが好きだったな。
歴代マルニをご紹介!
BMW02シリーズの変遷
●2002(1971年〜)

「2002」という車名は、2000ccのエンジンと2ドアボディを組み合わせたことに由来する。軽量なボディにパワフルなエンジンを搭載したスポーティな2ドアセダンであり、BMWのスポーティなイメージを決定づけた歴史的なモデルと評されている。
●2002tii(1971年~)

燃料噴射装置搭載(tii = Touring International Injected)を搭載した「2002tii」は130ps/5800rpm、18.1kgm/4500rpmを発生し、シングルキャブで100psの標準モデルよりもパワフルな走りを実現していた。ツインキャブで120psの「2002ti」もあった。
●2002ターボ(1973年~)

2L直4SOHCエンジンの圧縮比を6.9:1に低め、KKK社製のターボチャージャーを装着し、170ps/5800rpm、24.5kgm/4000rpmを発生。最高速は211km/hに達した。フロントに配されたエアスポイラーには逆さ文字で「TURBO」と書かれたステッカーが貼られていた。
●E20/3シリーズ(1975年~1983年)

「2002」の後継として誕生。前方に傾斜した逆スラントノーズを継承。センタークラスターが運転席側に傾いた「ドライバー志向」の内装を初めて採用。エンジンは当初は4気筒のみだったが、のちにこのクラスでは珍しい6気筒も投入された。
オークマン2026年6月号掲載記事

