NEW YEAR GREETINGS 2026
- info-am
- 16 時間前
- 読了時間: 10分
ディファレントを生み出し
会員様と一緒に成長するのが願い
株式会社オークネット

2025年に創業40周年を迎えたオークネット。これまでもお客様に寄り添い、社会の課題解決につながるビジネスを展開してきました。
さらに、26年以降は他社との違いを明確に打ち出し、循環型社会の創造への寄与を加速していく所存です。
――創業からの40年を振り返り、今のお気持ちを聞かせてください。
藤崎 まず頭に浮かぶのは会員の皆様への感謝の気持ちです。オークネットは、あくまでも中古品売買の場を提供するプラットフォーマーであり、我々だけではビジネスは成り立ちません。弊社と会員様はまさにパートナー。皆様の発展とサポートがあったからこそ、弊社はリユース市場全体で存在感を高めることができたのです。その思いを今一度胸に刻むため、2025年の活動のテーマに掲げたキーワードが「共創」。皆様のニーズを汲み取り、新しいサービスや取り組みをローンチさせることで、共に成長することを目指しました。
大畑 ここ数年を中古車部門に特化して分析してみると、海外からのニーズが益々高まってきているというのが最大のトピックでしょう。コロナ禍、大手中古車販売店の不祥事、自動車メーカーで相次いだ認証不正問題などの影響で、長らく新車の出荷と売上が滞る時期が続きました。それでも海外ではクオリティーの高い「ユーズド・イン・ジャパン」の中古車の需要は右肩上がり。そこに円安というトレンドも追い風となって中古車の輸出台数は増え続けています。
25年はコロナ禍から約5年が経過したということで、中古車不足が市場で顕在化してきています。通常であれば新車購入から5年が経過すると、その車が中古車として市場に出てくるのですが、20年のコロナ禍以降はしばらく新車が供給されませんでした。その影響が25年10月からじわりと現れてきています。市場に出ている中古車数は少ないのに、海外からの需要は増え続けているので相場は高止まり。国内の専業店様は買いたくても買えない状態が生まれつつあるのです。
我々としても専業店様へのサポートを考えなければなりませんが、中古車市場が海外の需要に支えられるというこの流れはしばらく続いていくと思われます。まだ正確な数値は出ていないものの、25年の中古車輸出台数は、150万〜160万台という過去最高の数値になると予想されています。オークネットの会員様の取引の内訳を見ても、半分以上が輸出業者様ですから、いかに海外需要が旺盛かというのがおわかりいただけるでしょう。
藤崎 自動車業界を揺るがした様々な不祥事を経て、消費者の目が以前よりさらに厳しくなったというのも、中古車業界全体に影響を与えたトピックですね。これによって、検査の需要が非常に高まっています。市場におけるオークネットブランドの価値を下支えしていると言っていい存在、AIS検査をご利用いただく会員様は右肩上がりで増え続けています。およそ260名の検査員を有しているにもかかわらず、ニーズに対応しきれていないというのが現状。このニーズが減少することは考えにくいので、より一層の体制強化は喫緊の課題です。
大畑 第三者機関による安心、安全、信頼の提供というのは、他社にはない我々だけのメリットですから、これは強化しなければいけません。ただ、検査員の数を増やすだけでは、皆様の期待に十分にお応えすることはできません。高い専門性を持つ検査員を育成することは一朝一夕では達成できない課題ですが、高いレベルでサービスを提供できるよう、人材育成にも継続的に取り組んでまいります。
藤崎 AISは研修事業も展開しています。AIS中古車検査検定で最も受講者数が多い3級の研修は2日間。座学だけでなく実車を使ったトレーニングも行われる実践的な内容です。主な受講者は、国産および輸入車ディーラー様、中古車販売店様などの営業スタッフが中心で年齢も様々。特に最近は買取店様からのニーズが高まっています。事故車、修復歴車を間違って買い取ってしまえば、大幅な損益につながってしまいますから、それを見抜く目を養うことはとても重要。そのお手伝いができるAIS検定研修のニーズも、今後はさらに高まっていくでしょう。こちらも皆様の需要になるべく早く応えられるように体制を整えていきたいと思います。
大畑 AISの検査事業も研修事業も、肝となるのはスタッフのクオリティーです。約半年のトレーニングを受けて、設定したレベルをクリアできなければ検査員にはなれません。それに加えて、検査の基準も毎年アップデートしています。自動車自体が毎年進化しているのですから、これは当然必要なこと。モノコックボディになれば修復歴を見るポイントも変わってきますし、EVであればバッテリー関連のチェックも欠かせません。検査員になってからも、知識と技術を更新し続ける必要があります。ただ、こうした努力が、AISの高い信頼性を支えているのですから、今後もここはおろそかにはできません。
――2025年で特に注力された施策について教えてください。

大畑 24年に発表したMOTAとの連携事業が25年の3月にスタートしました。我々と資本関係にあるMOTAは、国内最大クラスの申込数を誇る自動車売買サービスです。一般的な一括査定とは異なり、査定額を事前に競り合い、高額査定3社だけをお客様にお知らせするという
ビジネスモデルで躍進しています。そのMOTAがオークション事業も開始するということで、そのノウハウを持っている弊社が連携することになりました。
藤崎 現在は毎週月曜、金曜の2回開催です。他社のプラットフォームには出回らないフレッシュなユーザー車両が手に入るとあって、非常に注目されています。時間はかかるかもしれませんが、今後も取り扱い台数は増えていくのではないでしょうか。
大畑 ユーザー車両が安定して手に入るサービスとしては『さきどり査定ダイレクト』の利用数も増えてきています。これは、買取・下取車両を入庫前に共有在庫で公開していただくサービス。19年に立ち上げた当初は集荷に苦労した面もありましたが、現在は常時数千台が入れ替わり掲載され、月200台ほどの車両が成約してい
ます。買取店様からすれば買取後に車両を保管する手間がかからず、仕入業者様側からすれば安定的にユーザー車両が手に入る。双方にとってメリットしかありませんので、このサービスは今後も大きく成長していくはずです。今後は、提携していただける買取店様をいかに増やしていくかが鍵になるでしょう。
藤崎 共有在庫全体のニーズも高まってきていますね。現在はおよそ7万台が常時閲覧可能です(台数は2025年12月時点)。あらゆる会員様にご利用
いただいているのですが、近年は特に輸出業者様の利用が驚くほど多くなっています。海外で日本車を買おうと思っている人は、多少高額であっても、できるだけ早くクオリティーの高い日本車を手に入れたいという思いが強い。そのニーズに共有在庫がピタリと当てはまるのでしょう。このニーズの高まりに対応しようと、大手の輸出業者様とシステム連携を始めたというのは、以前お伝えさせていただきました。会員様オリジナルのECサイトと共有在庫市場をひもづけて、当市場の車両を会員様の在庫として顧客に提示できるというサービスなのですが、サービス開始時は20社ほどと連携していたものが、現在は40社ほどと大幅に増えました。会員様としては自社ECサイトの強化につながり、顧客満足度を上げられます。
大畑 輸出業者様の活発な動きによって、共有在庫全体でいいサイクルが生まれています。成約が多くなれば、出品者も多くなるわけですからね。約7万台もの在庫が淀みなく循環している中古車市場、しかも半数以上の車両が検査済みという市場は、オークネットの共有在庫以外にないのではないでしょうか。
藤崎 26年の我々のテーマは「ディファレント」。つまり「違い」ですね。他社のサービスに比べて、いかに違いを打ち出せるか。既存のサービスとどうやって差別化を図るかを追求していきたいと考えています。共有在庫における他社連携や検査といった部分は、まさに弊社以外にはない強みです。
――オークションのプラットフォームを刷新したのも大きなニュースでしたね。
藤崎 「AUCNET CARS(オークネット カーズ)」のリリースは、25年に打ち出した最大のディファレントと言えるでしょう。10年にサービスを開始した中古車オークションプラットフォーム「オークネオステーションハイパー」をリニューアルし、全く新しいプラットフォームとなりました。「オークネオステーションハイパー」は、長年にわたり多くの会員様にご利用いただいてきましたが、昨今の中古車需要のトレンドの変化や、会員様のニーズに対応しきれていないというのが懸案事項でした。
大畑 まずは25年10月に、買い機能だけをご利用いただけるようにしました。26年の秋には、売り機能もリリース予定なので、皆様にもぜひご利用いただきたい。使い慣れたプラットフォームから乗り換えるのに抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょうが、一度ログインすれば、使い勝手の良さを必ず実感していただけるはずです。
藤崎 今回のリニューアルではUIを刷新し、誰もが直感的に操作方法が分かるシンプルなデザインを採用しています。また、仕入れ業務の導線に合わせたサービスメニューとなっているうえ、検討、入札、商談、落札といった各フェーズの車両をリストで管理できるため、業務の効率が大幅にアップするでしょう。
大畑 ただし、このプラットフォームもリリースして完成というわけではありません。設計とテストを常に繰り返し進化するアジャイル型開発を目指しています。皆様からのニーズをくみ取り、柔軟かつ迅速に対応し、常にアップデートし、会員様に「ディファレント」をお届けしていきたい。それには、少しでも多くの皆様にご利用いただき、ご意見をフィードバックしてもらわなければなりません。ぜひ、この機会に新しいプラットフォームをご利用ください。
藤崎 25年には弊社の基幹システムも刷新しましたので、社内での情報共有が非常にスムーズになりました。これにより、デジタルマーケティングが今まで以上に強化されたのです。「AUCNET CARS」をご利用いただくことで、会員様のお考えやニーズ、行動様式、販売手法といったデータを高い精度で分析することができます。こうした情報は瞬時に共有されますので、お客様がいつ、どんなタイミングで、どんな車両が必要になるのかは一目瞭然。さらに、その会員様が対面での対応を望んでいるのか、ウェブやアプリを通じたコミュニケーションのほうが好きなのかも把握しておけるので、より手厚いサポートを提供することができるのです。
――最後に、会員様に向けてメッセージをお願いします。
藤崎 弊社はオークション会場を提供、運営するだけの企業ではありません。これまでも常にその意識を持ち、「価値あるモノ」と「求めている人」をつなぐ公平で効率的なマーケットをデザインしてきましたが、26年以降はそれをより強く推進していけるはずです。中古車部門で言えば、どんな見せ方、売り方をすれば皆様の持つ車両の価値を最大化できるのかを、デジタルマーケティングを駆使して提案できるようになるシステムが整いました。今後はより一層、会員の皆様と協力しながら、より良い「ディファレント」を生み出せるよう努力していきたいと思います。
大畑 25年より私がアイオークの社長に就任しております。今後は、アイオークとオークネットの垣根を超えたサービスの横断を進めていく予定です。アイオークとオークネット合わせて約1万6000社の会員様がシームレスにつながっていけば、大きなシナジーが生まれるはずです。ぜひ、この部分にもご期待いただきたいですね。

オークマン2026年1月号掲載記事


