自動車流通市場研究所 わくわくツアー第3弾
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- 7 時間前
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「トラックタウンで ”はたらくクルマ”の
お仕事体験&自動車査定就業体験ツアー」レポート
困難を抱える子どもたちに
将来の夢と仕事の選択肢を与えたい

2025年12月26日(金)、NPO法人自動車流通市場研究所 (以下、自流研)によって、「第三回自流研わくわくツアー」が行われました。このツアーでは、就学や就労に困難を抱える子どもたちに職場体験が実施されました。厳しい環境に直面する子どもたちへの就労支援の取り組みの模様についてお伝えします。
就業体験で子どもたちの未来の
選択肢を増やしたい

今回のツアーを企画した理事長の中尾 聡さんは、かねてから貧困やネグレクトによって義務教育で学ぶことすら困難を抱える子どもたちの就学支援や就労支援に力を注いできました。中尾さんはそんな困難に直面している子どもたちに働く機会や選択肢を与えたいと話します。
「わくわくツアーは過去2回実施しましたが、コロナ禍で中断を余儀なくされました。今回再開したツアーには、栃木県で生活する二十五名の子どもが参加しました。小学生一名、中学生八名、高校生が十四名、さらに二十歳以上が二名で、日本だけでなくパキスタンやネパール国籍の子どもたちが参加しました。参加した子どもたちは、複雑な家族事情や経済事情によって日々の生活に課題を抱え、現状を解決することが困難な状況にあります。また、国籍の違いから日本語を満足に話せないため、義務教育についていけない子どもたちもいます。こうした子どもたちは充分な教育を受けられず、就職や就労に苦労する課題に直面しています。将来の夢や未来のことを考えることが難しい状況にある中、働く選択肢の1つとして車に関わる仕事を伝えていくことが使命だと考えています」
広大なトラックヤードで
体験する仕事の数々
まず参加者は、貸切バスで千葉県佐倉市にある株式会社 サクラコーポレーション(以下、サクラコーポレーション)の「トラックタウン佐倉」に向かいました。
ここは中古車の販売やオークションへの出品、レンタルなどを行う大規模なトラックヤードであり、年間約千三百台を取引しています。約二万五千坪のスペースには二トントラックや大型トラックだけでなく、特装車やバス、遊園地のSL型遊覧車まで、多種多様な車両が並んでいます。

青空のもと到着した子どもたちは、サクラコーポレーションの社員に温かく迎えられ、特設テントに向かいました。はじめに代表取締役 金谷 正明さんが、自社の取り組みについて説明しました。「働く人の環境や地域との共生を大切にしています。トラック事業を通じて社会に貢献することが使命です。お客さまが必要とされる車両を良質な状態でご提供できるように、誠心誠意取り組んでいます」
続いて、隣接する「SAKURA Works」に移動し、トラックの法定点検
の状況を見学しました。キャブが持ち上げられて剥き出しになったエンジンを、子どもたちは珍しそうにのぞきこんでいました。
その後、子どもたちはトラックの看板はがし作業を体験しました。「トラックに書かれた会社名はペイントでなくステッカーです。次に使うお客さまのために古い文字をこうして剥がしていきます」

シニアマネージャーの藤島 久さんの説明のもと、スクレーパーを手にした子どもたちは、一文字一文字を丁寧に剥がしていきました。
続いて子どもたちは、近隣の保育園児が描いたはたらくトラックの絵を目にしながら「SAKURA STUDIO」に移動しました。ここでは外装補修の体験が行われました。子どもたちの前にあるのは修繕塗装待ちの二トンダンプトラックです。これまでたくさんの砂利や土を運んできたのか、荷台後部のアオリは傷ついて塗膜が剥がれ、サビが浮いています。子どもたちには防塵マスクと手袋が配られ、目を保護するためのゴーグルをつけて剥離作業を体験します。サンダーを手にした子どもたちは、社員の丁寧な教えと安全管理のもと、交代しながらサビとりを体験しました。
SAKURA STUDIOの奥にある塗装ブースは、長いトレーラーも対応可能な広い作業スペースがあり、スプレーガンを手にした社員が塗装作業を行っていました。「荷台を塗装するときは、運転席のキャブが塗料で汚れないようにカーテンで仕切ります」との説明に、子どもたちはうなづきながら見学していました。

再び特設テントに戻り、昼食と交流タイムです。パキスタンやネパール国籍の参加者にはハラル対応のお弁当も用意されました。質問タイムの時間には、最初はうつむいていた子どもたちも積極的に手を挙げて、たくさんの質問をしていました。中には「月収はいくらですか?」「整備士の資格を取るためにはどうしたらよいですか?」といった、就職を意識した質問や「ISO14001とは?」といった質問も飛び交いました。
AIS検定センターで
中古車の検査方法を知る
昼食後、一行はトラックヤードとは異なる職業体験の1つとして、千葉県八千代市にあるAIS検定センターに向かいました。ここはオークネットの車両検査部門からスタートしたグループ会社が、一九九六年に独立して運営しています。AISは検査専門の第三者機関として、中古車検査業務を軸に研修事業、検査員の養成などを行っています。普段、検査のプロしか立ち入る事ができないエリアでは、先進検査技術研究室 ジェネラルマネージャー 岩波 誠さんが車両の構造や検査する重要性について説明しました。車の修復履歴は、表面的にはわかりません。車の内部構造を理解して、修復した痕を確認する必要があります」と色が異なる溶接痕の継ぎ目を指差しながら、丁寧に解説してくれました。

また、岩波さんは「皆さんのAISへの就職を歓迎します。国籍は問わないため、誰にでも可能性があります。経験を積むことで、日本の平均年収よりはるかに高い年収の検査員もいます」と、検査員として働くチャンスと期待について伝えていました。
車に関わる仕事を
子どもたちの将来の選択肢に
自流研の中尾さんは、今回の「わくわくツアー」の意義について次のように話します。
「今回の参加者の中には、ゴミ屋敷の様な家で生活せざるを得ない子どももいます。過酷な毎日で将来や仕事について思い描くことは難しいですが、今回の経験を経て、トラックや検
査に関わる仕事がなりたい職業の1つになればと考えています。うつむきがちな子どもたちに、将来の夢や仕事の選択肢を示したいと思います」(中尾さん)

オークマン2026年2月号掲載記事


