トヨタ・スープラ②【思い出の車列伝】
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- 20 時間前
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速くてかっこいい!
北米で人気を博した車
●トヨタ・スープラ
とある理由から北米で
セリカXXに与えられた車名、スープラ。
日本では圧倒的な人気が得られなかったものの、
スポーティーで印象的なトヨタ車。
モータージャーナリストが解説します。
Text : Koichiro Okamoto(Motor Journalist)
セリカの上級モデルから
フラッグシップスポーツへ
北米で大人気だった日産のフェアレディZを尻目に、トヨタが対抗馬として企画したのがスープラのはじまりだ。
セリカをベースに直6エンジンを搭載し高級に仕立てたのが初代セリカXXで、そのコンセプトは初代ソアラに受け継がれ、プラットフォームやパワートレーンを共有しつつ、2代目セリカXXにはよりスポーティーなキャラクターが与えられた。
リトラクタブルヘッドライトを採用し直線基調でウェッジシェイプとされたスタイリングは好評を博した。装備も充実しており、当時としては最先端のクルーズナビコンの設定が話題となった。TVCMにあのロータスの創始者であるコーリン・チャップマンが出演し、開発にも携わったという噂の真偽が取り沙汰されたが、のちに真実であったことが明かされた。
まもなく絶版となって40年が経過するが、現在も残っている中古車は、かなりの高値が付けられている個体が多い。
ところでトヨタとしては「最高」や「究極」の意味で名付けた「XX」だったが、北米ではポルノのハード度合いを示すために「X」という文字が用いられていたことを受けて、当初から「至上」を意味する「スープラ」の車名で販売されていた。
次世代からは日本名もスープラ(国内初代)に改名し、またクルマとしての成り立ちも、これまでセリカとの共通性があったところも完全に別物となった。
4輪ダブルウィッシュボーンの凝った足まわりや、ターボも含め多彩な直6エンジンが設定されたのも特徴だ。
初代の70型で印象に残っているのは、まず88年にグループAレースのホモロゲモデルとして500台が限定販売された「ターボA」だ。当時最強の270psを誇り、スープラファン垂涎の存在となった。
さらに、90年にはより強力な280psの1JZエンジンを搭載されるようになり、中でも、ビルシュタインやトルセンLSDで武装した「ターボR」は走りに特化したモデルとして注目された。こちらは限定ではなくカタログモデルだ。スパルタンな走りは他のスープラとは一線を画していた。
2代目と3代目のイメージは
北米と日本では全然違う
93年に登場した国内2代目となる80型は、それまでとは全く異質の、大きなリアウイングが目を引くグラマラスなスタイリングとなり、内容的にもフロントミッドシップレイアウトとするなど本格的なスポーツカーとしての在り方を意識したクルマとなった。
とはいえ、当時の国産280ps勢は手強く、現役時代は直線番長的なイメージで走りも見た目もあまり評価されなかったものだが、映画『ワイルドスピード』で主役の愛車として起用されたのをきっかけに北米で人気に火がついた。それが日本での中古車価格の高騰にもつながったようだ。
17年ものインターバルを経て、日本では「90型」とも呼ばれる国内3代目のDB型は、2019年のデトロイトモーターショーで披露された。このとき筆者も現地に赴いていたのだが、同じく新型となるフェアレディZよりも、よっぽどスープラのほうがブースが大きくて展示台数も多く、注目度も高かったことに驚いたものだ。日本ではスープラがBMW製になってしまうことに落胆の声も小さくなかったのとは対照的だ。
それは前述の映画でのカルト的な人気はもちろん、出自にあまりこだわらず、速くてカッコよくてイジって楽しめればOKというアメリカ人の気質も大いに影響しているに違いない。
そんなスープラも、日本ではあまりパっとしないままモデルライフを終えようとしているが、もし次があるとしたらやっぱりトヨタが内製で作ってくれたほうがうれしいと個人的には思っているところだ。
モータージャーナリストの視点!
昔は車格のわりに相場が低い状態が続いていた印象だったが、いまでは状況は全然違う。いずれも現役当時はそれほど評価されていなかったにもかかわらず、どの世代も全体的に高め。映画で英雄となった80型だけでなく、70型やセリカXX(とくに2代目)もかなり高くなっている。中には新車価格の2倍や3倍というものまで見受けられる。現行型のDBも納車が困難だったこともあり新車価格を超えているものが多く見受けられる。絶版になったらさらに高価になる可能性は高そうだ。
各世代のウリはここだ!
●2代目セリカXX
(1981年~1986年)

高級スポーティー路線を確立
● ハンドリングbyロータス
● 後期型でドアミラー化
● 当時屈指のハイテク装備
「セリカXX」が北米では「スープラ」として販売され、写真はその2代目。初代「セリカXX」は当時北米で大成功した日産「フェアレディZ」に対抗すべくラグジュアリー志向の高級スペシャリティーカーとして開発されたが、そのコンセプトは「ソアラ」に引き継がれ、2代目はスポーティー路線に舵を切った。後期型はドアミラー化され、スポーティーに振ったキャラクターではあったが装備は充実しており、高級車としての役割も担っていた。
中古車小売り価格帯 350万円~500万円 |
●国内初代スープラ
(1986年~1993年)

歴代でもっとも売れた
● 多彩なエンジン種類
● ワイドボディー仕様が人気
● 4輪ダブルウィッシュボーン

エンジンは多彩で最高出力230psの3L DOHCターボを頂点に、2L DOHCツインターボと2L DOHC、そして2L SOHCの4種類の直列6気筒を設定。写真は2L DOHCツインターボ。
中古車小売り価格帯 200万円~700万円 |
●国内2代目スープラ
(1993年~2002年)

「ザ・スポーツ・オブ・トヨタ」を標榜
● 2+2のタイトなコックピット
● 3.0L直6ターボと自然吸気エンジン
● 国産乗用車初の6速MT

乗車定員は前席2名+後席2名の4名で、タイトなコックピットが特徴。写真のRZグレードには、当時の日本産国内向け乗用車としては初となる6速MTが搭載された。
中古車小売り価格帯 450万円~1000万円 |
●国内3代目スープラ
(2019年~2025年)

初の2シーター専用モデルに
● BMWと共同開発
● 直4エンジンを歴代初搭載
● 発売時は8速ATのみ

エンジンはBMW製を採用し、歴代モデルからの伝統である直列6気筒に加えて、初めて直列4気筒も設定された。トランスミッションは8速ATのみだったところ、2023年にRZに6速MTを追加。
中古車小売り価格帯 420万円~850万円 |
オークマン2026年1月号掲載記事


