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トヨタ 86①【思い出の車列伝】

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  • 2023年12月1日
  • 読了時間: 4分

更新日:1月10日



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硬派な車好きを魅了

ハチロクというカテゴリー

●トヨタ 86


カローラレビン スプリンタートレノを源流とし、ある種のカリスマ性を秘めたトヨタ86。

僕の趣味じゃないというテリー伊藤さんですが、1つのカテゴリーを確立している、と語ります。

Interviewer: Koichiro Okamoto (Motor Joumalist)

Photographs: Katsuaki Tanaka



某レーシングドライバーと漫画の影響により人気沸騰

 AE86が現役だったのは80年代の中盤 昭和の終わり頃だから、僕らよりも少しあとの世代の、現在60代ぐらいの人だよね。当時は誰もハチロクとは呼ばず「レビン」、「トレノ」と呼んでいたのにハチロクと呼ばれるようになったのは、土屋圭市さんが言い始めてからだと思う。

 走り屋のイメージが強かったから、僕にはあまり縁のないクルマで、要するにカローラとスプリンターの速いぐらいの認識だった。FRだなんだというのは、 あまりありがたみは感じなかったよね。

 それにぜんぜんオシャレじゃないし、いかにもモテそうにない。シルビアやプレリュードとは対照的な感じがしたよ。でも、当時の彼女の弟が2年落ちの中古車を買ったんだ。 いわゆる走り屋というほどではなかったけど、僕とはぜんぜん違う感性でクルマを選んだこと自体がすご新鮮に感じられたものだよ。

 AE86を買ったときに、 本人はものすごく喜んでいたよね。後輪駆動でエンジンがよく回るというのがAE86のポイントらしいけど、 乗せてもらっても僕にとっては正直ピンとこなかったかな(笑)。まあ、僕の趣味じゃないからね。そもそも現役のころは、 そんなに人気があったわけじゃないように記憶している。 人気が出たのはむしろ絶版になって次のレビン/トレノがFFになっからだよね。

 もともと土屋圭市さんはAE96をずっと絶賛していた。さらに、例の走り屋を題材にした

漫画で、すっかり人気が定着した。漫画ではAE86がずっと高価でハイパワーなクルマに勝つ様子が描かれていた。映画の「ロッキー」みたいに、弱者が恵まれ強者に挑んで戦って勝っていくというのがもてはやされた時代背景もあったと思う。

 AE86はそういうポジションにいたわけだ。なんとなく裕福そうじゃなくて、オシャレでもなければパワーもそれほどない「弱者」と認識されていたからこそ、バトルして勝

つ主人公としてふさわしいと選ばれたんだと思うよ。



わかりやすい操る楽しさこの内容のこの価格は破格

 「ハチロク」と呼ばれるクルマの存在をさらにメジャーにしたのが、現行の新世代の86(GR86を含む)だ。

 トヨタというのはとても合理性を重視するメーカーだから、現行のようなクルマを出すなんて、 昔なら即却下だ。もし豊田章男さんが走り屋じゃなかったら誕生していなかったはずだ。 その意味では、現行86は奇跡的に生まれたクルマだと思う。

 いまや86が好きでぜひに乗りたいという人がこんなに大勢いるほどまでに絶対的なポジションを築きあげた。1つのカテゴリーとしてちゃんと確立されたわけだよ。

 でも、2ドアクーペというと、昔は若者がデートで乗るイメージだったけど、 現行はそ

うじゃない。 お嬢様にもギャルにも好かれそうにない。 青山学女子大生で86好きなんて聞いたことがない(笑)。

 現行86を好きなのは、本当にクルマが好きな硬派な人だろうね。ハチロクはそれでいいんだ。

 実はつい最近もGR86に久しぶりに乗る機会があったんだけど、あらためて乗っても、 本当に楽しかった。 オートマでも十分に楽しいよね。

 なんだか業界の中ではBRZのほうが微妙に評判がいいような気がしていたけど、僕は86のほうが好きだな。 86のほうが素直感じがして、わかりやすい操る楽しさがあるよ 。

 それに価格も安い。今どき軽自動車だってコミコミ250万円を超えても珍しくないのに、あの内容で300万円台で新車が買えるなんて破格だよ。

 ただ、デザインはもうひと工夫欲しい。 新しいものが何にもないじゃん。 北関東じゃなくて軽井沢が似合うハチロク、 出てこないかな〜。



歴代トヨタ 86をご紹介!

「ハチロク」と呼ばれるクルマの系譜


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