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ポルシェ911①【思い出の車列伝】

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  • 2024年12月5日
  • 読了時間: 5分

更新日:1月10日


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どんな時代でも愛される

憧れのクルマ、911


ポルシェ911


若かりし頃テリー伊藤さんも2台乗り継いだというポルシェ911。

いつの時代にもその愛され方があり、旧い911も、クルマ好きには依然として

人気を博しているようです。


Interviewer: Koichiro Okamoto (Motor Joumalist)

Photographs: Katsuaki Tanaka


人にあげた愛車の964型がこんなに高騰するとは…

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旧い911の相場が爆上がりしているよね。実は僕も80年代の終わりから90年代にかけて2台つづけて964型に乗ったよ。

 当時は新車がせいぜい1000万円ちょっとで、やっぱりクルマ好きにとってポルシェは憧れだから、いつかは!という思いがあって、それをようやくかなえることができてうれしかったものさ。

 最初が白いカレラ2で、911でスキーに行くことを夢見て、黄色いカレラ4に乗り替えた。でも2台とも最終的に知り合いにあげたんだよ、タダで(笑) それが今や2000万とか3000万円だもんね。

 911の前に同じRRのビートルに乗っていたので、その延長上かなと思って乗ったら、ぜんぜん違うクルマだったよ。加速やハンドリングもだけど、とくにブレーキが抜群にいいことは僕でも分かった。フロントが巧く沈み込んでシュッとものすごく安定して止まるんだ。ブレーキを踏むとバランスが最適になるからだよね。

 でも、僕には乗りこなすだけの運転技術がなくて、本来の実力の10分の1も引き出せない気がして、クルマに申し訳なくなって手放すことにしたんだ。

 それに当時の911はまだサイズが小さくてよかったんだけど、決して快適ではない。狭いし乗り心地もよくないし、空冷のフラット6はかなり騒々しかった。

 あとはワイパーがダメだった。雨の日に乗ると新車の頃からキーキー音がして、きれいに拭き取ってくれないんだ。

 そういう話って雑誌には出ないじゃん。評論家のみなさんにとってもポルシェは聖域みたいなところがあるからさ。

 でも、これから旧い911を買うのはいいことだと思う。もはや964型あたりもヴィンテージカーだから、現役当時のように最新の戦闘機に乗る感覚じゃなくて、歴史のある由緒正しいクルマのオーナーになって、週末の特別なときだけちゃんとエンジンを温めてその走りを味わうみたいな、それがいいんだよ。

 それが裕福な愛好家の元で手間をかけてコンディションを維持して受け継がれていくことで、新たな命をもらうみたいな感じで、現役当時よりもむしろ今のほうが選りすぐられていくわけだ。

 旧い911はそれをやるだけの価値があるクルマであって、よくポルシェは「最新こそ最良」というけど、今の時代だからこそ、ヴィンテージポルシェを所有するという満足感やステータス性がますます高まってきたように思うよ。

 高騰している中古車相場にはちゃんと理由があって、同じように感じた人がそれだけ大勢いるということだ。



最新の911にも興味あり

今後はZ世代が増えてくる


では、「最新こそ最良」のはずの最新の911には興味がないかというと、ぜんぜんそんなことはない。現行の992だって、とってもスタイリッシュだし、一文字のテールランプを見かけるとオッ!と思うし、それがカブリオレだったりするとシビレるよ。ボディサイズが大きすぎるのと、価格がこんなに高くなったのはいただけないけどね。

 今ではすべてターボになって今後は電動化を進めていこうとしていて、時代の流れの中でいろいろ進化してるけど、新しいものを否定する気はまったくないよ。否定すると人類もクルマも進歩しなくていいということになる。

 これから911を買おうという人はどんどんZ世代が増えてくる。そうすると往年の〝味〟とかあまり関係なくなるよね。

 旧いクルマが好きなのはオールドマネーのみなさんで、ニューマネーを得た人たちはそこにためらいはない。それはファッションでも音楽でもグルメでも同じじゃないかな。

 ただし、911の場合は旧車の価値があまりに大きい。例えばビートルズがいいのは僕たちの世代にとっては常識でも、現役時代を知らない若い人にとってはナツメロだ。それでも新しい感性を持った若い人にも時間を超えて「いい!」と思わせるだけの力を持っている。

 同じように若い人でも旧い911に興味を持ち、乗って感動した人が少なくないというから、やっぱり昔も今も911はタダモノじゃないよね。




歴代911をご紹介!

ポルシェ911の変遷


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●964型(1989年~)


930型を踏襲した外観ながら、80%の部品が刷新されている。959の技術を用いた4WDのカレラ4や、ティプトロニックと呼ぶマニュアルモード付のATが初めて導入された。足まわりはトーションバーからコイルスプリング式になり、パワーステアリングやABSなどの現代的な装備が付き快適性と操作性が向上した。



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●993型(1993年~)

空冷最後の911として愛好家から高い人気を誇る。後傾したヘッドライトなどスムーズな外観となったほか、リアサスペンションのマルチリンク化、エンジンのタペット調整の自動化、マフラー容量の増大と左右独立等長のエキゾーストの採用などが特徴。カレラ4には日本向けのみ3.6Lではなく3.8Lエンジンを搭載。


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●996型(1997年~)/997型(2004年~)

水冷エンジンを搭載し車体を全面刷新するなど、911の歴史で実質的に初のフルモデルチェンジ。996型の涙目と呼ばれるヘッドライトや曲面多用のインテリアは賛否両論で、997型で原点回帰を図った。2008年にはエンジンを直噴化しPDKを搭載。機能面では、PSM※1、PASM※2、スポーツクロノパッケージ(997~)を設定。


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●991型(2011年~)/992型(2018年~)

車体が大型化されたものの軽量化され、991型の後期からカレラ系も含め全車にダウンサイジングターボエンジンが搭載された。高性能モデルを皮切りに後輪操舵システムの設定を拡大したほか、992型では当初は7速だったPDKが8速となり、先進運転支援装備やインフォテインメントシステムが大幅に充実した。


※1:PSM=ポルシェ・スタビリティ・マネジメントシステム

※2:PASM=ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメントシステム




オークマン2024年12月号掲載記事



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