ダイハツ・ミゼット①【思い出の車列伝】
- info-am
- 7月25日
- 読了時間: 5分

ダイハツの真骨頂
唯一無二のかわいさ
●ダイハツ・ミゼット
「超小型のもの」という意味を持つミゼット。
そのデザインが醸し出す「かわいさ」には、テリー伊藤さんも太鼓判を押します。
そして今後かなうならぜひ! と、ミゼットⅢの近未来の姿を提示してくれました。
Interviewer: Koichiro Okamoto (Motor Joumalist)
Photographs: Katsuaki Tanaka
昔は「かわいい」ではなく
ガツガツした感じだった

ミゼットⅡが発売されたのは、もう20世紀の終わり頃だよね。ダイハツはよくぞ出してくれたものだとつくづく思う。当時もベストカーやいろいろな雑誌で褒めまくっていたけど、その気持ちは今でも変わらないよ。
中古車を検索すると意外と豊富に流通していて、みなさん思い思いにカスタムしていて、センスのいい個体がたくさんある。ぶっちゃけ今後、値落ちする要素もないし、欲しい人は絶対に買い!だと思う。僕も欲しいぐらいだよ。
そんなミゼットⅡの基になった初代ミゼットのことをもはやよく知らないという人も大勢いるだろうけど、僕らが子どもの頃にはそこら中でうじゃうじゃ走っていたんだ。CMで大村崑さんが「ミゼット!」と連呼していたのも懐かしい。
ただ、今のミゼットⅡの受け取られ方とは全く違っていた。かわいいとかそういう感じではぜんぜんなくて、単なる3輪の商用車だったよ。
「ALWAYS三丁目の夕日」みたいなのどかな感じじゃなくて、とーちゃんかーちゃんが乗って毎日あくせく働いてるような、もっとガツガツした感じのクルマだったよね。
近所の八百屋さんとか酒屋さんとかみんな配達で使っていて、本当にもう作業着とか長靴と同じような扱いだった。だからもし彼女とドライブするのにミゼットに乗っていったら、彼女は怒って帰ってしまう。そういうクルマだった。
僕も乗ったことはあるけど、やっぱり3輪だと倒れそうで怖かったもん。そんなわけで、初代ミゼットにあまりいい記憶はないんだけど、今見るとかわいいよね。40年の時を経て出てきたミゼットⅡもかわいい。
本質的には商用車なのにかわいいと感じてカスタムまでするというのは、例えば破けたジーンズを「ダメージ」と呼んでオシャレなものにするのに通じるものがあって、それだけ世の中が豊かになって余裕が生まれたからこそできるんだと思うよ。
ミゼットⅢが出るとしたら
どんなクルマがいいか?
おそらくダイハツのことだから、いつの日かミゼットⅢを出してくれると思うけど、それはきっと電気自動車になる。それならもっと小さくして、シニアカー+αのようなクルマにするという手もある。
完全なシニアカーだと不便な面も多々あるけど、シニアカー以上&軽自動車未満ぐらいのサイズで日々の買い物用のクルマがあると、高齢者向けの足としてはちょうどいいよね。それでデザインがミゼットだったら申し分ない。軽自動車とシニアカーをつなぐ架け橋のような存在になるのも悪くないんじゃないかな。
あるいは逆にデザインをできるだけ崩さないようにしながらサイズを大きくするという手もある。ただでさえ、いまどきのユーザーは軽自動車といってもできるだけ大きくて広いクルマを選ぶ。それは今の日本の住宅事情だとやむを得ないことだ。車庫として必要なスペースは同じだから、できるだけ広いほうがいいと考えるのは当然だよね。
そこでミゼットだ。ダイハツにはコペンのようなクルマもあればムーヴ キャンバスもあるし、こういうクルマを作らせたら本当にうまいと思うんだよ。
狭くてもいいから4人乗りにしてもいいと思うし、カーゴにしてホンダの N-VANみたいにフロアがフラットになって中で寝られるようにすれば、横に寝袋を常に置いたまま旅に出られる。北海道を車中泊で快適にひとり旅できる。それで見た目がミゼットのような感じだったらとても絵になるよ。
その場合はEVじゃなくて長距離も走れるようにPHEVにだとありがたいな。もし本当に21世紀のミゼットはPHEVだ! なんてことになったら、それはもうインパクト満点だよね。
歴代ミゼットをご紹介!
ダイハツ・ミゼットの変遷
●初代(1957年~1972年)

「街のヘリコプター」というキャッチコピーをうたい、低価格で維持費も安く軽免許で乗れることから大ヒットした。その人気を受けて他メーカーも続々と参入したものの、ほどなく市場は4輪軽トラックに移行したためブームは短期間で終わったが、ミゼットだけが最後まで生き残った。強制空冷2サイクル単気筒エンジンを搭載。
●ミゼットⅡ(1996年~2001年)

全長2790mm、全幅1335mm、全高1705mmというサイズは当時の軽自動車規格よりもずっと小さく、初代ミゼットに近い。当初は1人乗りでMTの軽トラックのみで発売され、やがてATや横並び2人乗りが追加された。荷台長は1145mm、幅は1205mmで、軽貨物車のハイゼットの部品を用いて、ダイハツ本社に新設された「ミゼット工房」において手作組みで生産された。
※写真は前期モデル
●ミゼットⅡ カーゴ(1997年~2001年)
1997年初頭にバン型の「カーゴ」を追加。既存の「ピック」よりひとまわり大きなサイズで、99年には軽自動車規格の改定に合わせて大型のバンパーを装着するなどして安全基準を満たした。全長は105mm拡大、車体前面にあったスペアタイヤを荷室に移動。生産台数はピックが9407台、カーゴが4992台の計1万4399台となる。
Photo by Ford Motor Company
オークマン2025年8月号掲載記事











