NEW YEAR GREETINGS 2025
- info-am
- 2025年1月1日
- 読了時間: 9分
更新日:1月10日
会員様に寄り添うとともにサステナブルな社会の実現にも
積極的に貢献していきたい
株式会社オークネット

会員様の発展を第一義に考えながら、持続可能な社会を築くために何ができるのか。
創業40年を迎えたオークネットは、社会課題の解決に対してこれまで以上に真剣に取り組んでまいります。
年初にあたり、その意気込みと具体的な施策について藤崎と大畑がお伝えします。

藤崎 会員の皆様、あけましておめでとうございます。2023年に起こった大手中古車販売店の不祥事に続き、24年は大手自動車メーカーで相次いだ認証不正問題が業界に暗い影を落としました。長く続いた新車の出荷停止により、多大な影響を受けた会員様もいらっしゃったことと思います。それでもわらず弊社のサービスをご利用いただきましたことに、厚く御礼を申し上げます。
大畑 毎年のように大きな問題が顕在化してきていますが、我々は常に会員の皆様に寄り添い、共に成長していきたいと考えています。そのために、24年はカスタマーサクセスを強化し、25年もいくつかの試みにチャレンジしていく予定です。
皆様の発展のために邁進していきますので、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
――では、24年は中古車業界にとってどんな年だったのか、振り返りをお願いします。
藤崎
業界全体としては、やはり認証不正問題のインパクトが大きい年でしたね。23年12月、ダイハツによる型式指定の申請に関する認証不正で国内生産がすべてストップするという異常事態がまず第一波。24年5月にはトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキ、ヤマハ発動機が同様の不正を国土交通省に報告し、現行生産6車種が出荷停止になるという第二波が発生しました。中古車業界にとって特に打撃だったのは軽自動車の出荷停止です。多くの会員様に人気だった軽の新古車がマーケットからほぼ消えてしまったことの影響は非常に大きかったですね。
大畑 ただ、これは予期していなかったことなのですが、認証不正問題に派生する中古車マーケットの玉不足は、弊社の共有在庫に注目が集まるきっかけにもなりました。普段はオークションしか利用しない会員様が、お客様のオーダー車両を仕入れる必要から共有在庫市場をチェックしてくれるようになったのです。オークションに比べれば多少高値にはなってしまいますが、ラインアップされている在庫の多さと質の高さに気付き、騒動が収まった後も引き続き共有在庫市場をご利用いただいているというような状態です。
藤崎 特に、輸出業者様からのニーズは驚くほど高まっています。弊社では、23年から、国内の大手中古車輸出業者様とシステムの連携を進めています。会員様オリジナルのECサイトと共有在庫市場をひも付けて、当市場の車両を会員様の在庫として顧客に明示できるというサービスです。既に20社ほどと連携済みで、多い月には1社で数百台もご購入いただいています。
認証不正騒動以後は、その数が増加傾向にあります。それに伴い、「オークネットの共有在庫に出品すれば売れる」という認識が広まり、出品台数の増加がさらなる好循環を生んでいます。他社でも同様のサービスを提供されている中で、弊社のサービスは多くのお客様にご支持を頂いており、一定の評価を得ております。約6万台の在庫が淀みなく循環することで、常にフレッシュな内容となっているからでしょう。
大畑 23年から引き続き堅調な輸出業に支えられている部分が大きいですね。中古車の輸出規制が敷かれているロシアですが、規制対象外の排気量が1900cc以下の車両は、以前にも増して多く取引されています。
藤崎 反政府勢力による船舶攻撃が深刻化していたスエズ運河、干ばつによる水位不足によ
り通行が困難になっていたパナマ運河という二大運河の問題も解消されつつありますので、今後はさらに中古車輸出マーケットが活況となるのではないでしょうか。とにかく〝メイド・イン・ジャパン〞〝ユーズド・イン・ジャパン〞のブランド力は世界中で絶大です。弊社としてもこのマーケットの動きを注視し、引き続き海外市場を押し広げていくお手伝いをさせていただきたいと考えています。
――年初は物流の24年問題も大きく取り沙汰されていましたが、なにか影響はありましたか?
藤崎 弊社では輸送について外部に委託しておりますので、直接の影響はほとんどありませんでした。むしろ、近い将来に必ず懸案となってくるEVの運送について手を打たなければならないと考えています。
ご存じの通り、EVは非常に車両重量が重い。バッテリーのイノベーションが起こらない限り、このデメリットが改善されることはありません。車重が重いということは、輸送コストにダイレクトにはね返ってくるということ。最大積載量の関係でガソリン車なら6台積める輸送車でも、EVだと5台しか積めないというようなイメージです。今は中古車マーケット
に占めるEVの割合は1%以下ですが、10年後には20%程度になっていても不思議ではありませんから、その時のために対策を考えていかなければなりません。

大畑 EVが中古車マーケットに大量に流通するのを見越して、バッテリーの検査技術と、その運用体制は既に急ピッチで進めています。独自の技術によりEVの使用済みバッテリーの再製品化にいち早く成功した「MIRAI-LABO」という企業と資本提携し、共同プロジェクトに着手したのは21年。研究は順調に進んでいて、EVから取り外したバッテリーの検査を、5分以内で行えるようになりました。しかも誤差は5%以下という高水準を実現しています。さらに、今は車からバッテリーを取り外すことなく検査できるよう研究中です。各社がEVのバッテリー検査を実用化させているというような報道がありますが、この分野においては間違いなく弊社が先頭を走っていると言えるでしょう。
藤崎 EVから取り外したバッテリーの性能を評価する劣化診断技術は、中古EVを安全に中古車マーケットに戻すためだけに使われるわけではありません。EVに搭載するための基準に満たないバッテリーでも、自律型街路灯や蓄電池など、別の製品に組み込んで再度活用するのは十分に可能です。弊社では、バッテリーを診断結果や買い手企業のニーズに応じて形を変えて流通させる、BtoB流通プラットフォームも構築しました。今後このプラットフォームが認知され順調に稼働していけば、サステナブルな社会を築いていく一助にもなるはずです。
――ライブオークションを取り巻くシステムやサービスについては、なにか変化がありましたか?
大畑 ローンチは25年夏から段階的に稼働しますが、ついに皆様にご利用いただいているポータルサイト「オークネオステーションハイパー」を全面リニューアルいたします。今まで様々な機能を後から付け足してきたので、システムが多重構造となってしまい、容易にはリニューアルできない状況でした。リニューアル後はダッシュボード機能が充実し、使い勝手は格段に向上します。Amazonのように、直感的に操作できて、必要な情報に最短でたどり着けるようなサイトを構築していきますのでご期待ください。
藤崎 24年に始めたサービスだと、4月からオークネットTVオークションに新設した出品ブロック「オリックス自動車コーナー」も好評を得ています。オートリース業界の最大手である、オリックス自動車のリースアップ車両に特化したコーナーで、マーケットからの需要の大きいコンパクトカー、軽自動車、商用車などを数多く取りそろえています。リース会社の名前を冠したコーナー開設は今回が初めての試み。車の出どころをより明確にし、整備の行き届いた車をお手頃な価格で落札できるという〝安心感〞を、落札店様に提供できると考えました。
大畑 当初の想定を上回る台数の出品車両を頂いており、会員様にもご好評を頂いています。しかも成約率は7〜8割程度と高水準。オークネットTVオークションに参加していただけていなかった会員様の参加が目立つのも、本コーナーへの注目度が高いことを示しています。
――MOTA社との連携については、なにか進展がありましたか?
藤崎 MOTAは国内最大クラスの申込数を誇る自動車買取サービスです。これまでの一括査定とは違い、査定額を事前に競い合い、高額査定3社とやり取りするだけというビジネスモデルで業績を伸ばしています。 彼らは、言ってみればCtoBのプロフェッショナル。一般消費者からフレッシュな車両を集めるという点ではどこにも負けないノウハウを持っています。ところが、toBへの領域に関しては多くの知見を有していません。そこで、25年には我々のポータルサイト「オークネオステーションハイパー」と連携を開始します。MOTAの車両は、他社のプラットフォームでは落札することができません。単純フレッシュな車両が出品される会場が増えるのですから、我々にとっても落札者様にとってもいいことばかり。相当な反響を呼ぶのではないかと期待しています。
――カスタマーサクセスを強化されたとのことですが、具体的にはどのような取り組みを始めたのでしょう。
大畑 24年は、特に会員様のニーズ理解を徹底しました。具体的には顧客管理アプリを導入して、会員様がどのような購買傾向にあるのか、また、新しく入会された会員様が何に戸惑っていそうなのか、ということをデータ化し、スタッフで共有することにしたのです。
藤崎 こうすることで、例えば会員様が車両を購入したら、すぐにお礼のアクションを起こせますし、購買傾向から求める車両を推察して情報提供を行うこともできるようになりました。また、オークネットに入会したものの、利用方法がよく分からず退会してしまう人や、何カ月も落札台数がゼロといった会員様をフォローするのも容易になったのです。もちろん、今までも個別の営業マンが同じようなサービスを行っていましたが、アプリを導入したことで、より高いレベルのサービスを提供できるようになりました。
大畑 大切なのは、会員様がどのように行動し、何を求めているのかをデータとして知ることです。そして、さらに重要なのは、そのデータを知って何をするか。データ収集にはデジタル活用が有効ですが、その先のサービスはアナログであったほうが会員様の心には響くようです。例えば、我々が定期的に開催しているライブメンバーズ交流会は非常に好評です。ライブ落札がメインの会員様を20社程度招いて開催する会なのですが、私や社長も積極的に参加し、会員様からご意見を頂戴しています。
――では、最後に中古車マーケットの中長期的な展望を聞かせてください。
藤崎 毎年のように大きな問題が顕在化してきていますが、私は中古車業界の未来は明るいと考えています。社会全体のサステナブルな消費行動に対する意識は、ここ1〜2年でドラスティックに変わりました。これは、弊社で扱うブランド品やスマートフォンなどのマーケット拡大を見ても明らかです。リユース品を買うことへの抵抗はますます減り、様々な業界でサステナビリティの輪が出来上がりつつあるのです。しかし、中古車マーケットが古くから確立されている我々の業界では、それはもう当たり前のこと。大手メーカーが自社の商品を中古として販売するシステムは、他の業界ではやっと検討が始まったレベルです。そういう意味では、中古車業界はあらゆる業界のマーケットが進化していくモデルケースにもなっていくかもしれません。
大畑 弊社としては、常にカスタマーサービスの質を向上させていきたいと考えています。あらゆる分野でデジタル化が進んでいますが、できる限り会員様と直接お会いし、話をさせていただき、心の通ったサービスを提供していきたい。会員様のビジネス成功の一端を担うような存在でありたいですね。

オークマン2025年1月号掲載記事








