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業界レポート6月号② Vol.79

  • 3 日前
  • 読了時間: 4分


 

 中東情勢は、米国、イラン双方が強気な姿勢を崩さず戦闘終結への協議は未だに難航しています。一方、日本の自動車市場に目を向けますと、3月の中古車輸出額はこれまで単月の記録を大幅に更新。また4月の新車販売は環境性能割廃止の影響もあって、過去10年では19年4月に次ぐ高水準となっています。依然として先行きの不透明感は拭えませんが、今回はこうした記録にフォーカスしてみました。


執筆・編集:特定非営利活動法人 自動車流通市場研究所 理事長 中尾 聡


【環境性能割廃止で新車販売は上向き

中古車供給は増えるが相場は読めない局面へ】


  4月の新車販売が前年同月比9.1%増と大きく伸び、環境性能割の廃止を見据えた登録の先送りも相まって、新車市場には久々に明るさが戻りました。新車販売の増加は中古車供給量の拡大につながるため、6月以降は相場に変化が生じる可能性があります。一方で、中東情勢の悪化による新車価格の上昇圧力や、輸出市場の不透明感など、先行きには不安材料も多い状況です。国内外の需給が揺れ動くなか、中古車市場はこれまでにない不安定な局面に入りつつあります。


【新車販売の回復と中古車供給増への期待】


 日本自動車販売協会連合会と全軽自動車協会が発表した4月の新車販売は37万3952台と、前年同月比9.1%増を記録しました。これは過去10年で最も高かった19年4月の水準に迫るもので、環境性能割の廃止を前に3月末までに予定されていた登録が4月にずれ込んだことが大きく影響しています。5月以降は市場の“本来の地力”が見えると期待されますが、原材料高や物流コスト増を背景に新車価格が上昇基調にあるため、この勢いがどこまで続くかは不透明です。

 また、軽自動車は5カ月ぶりに前年割れとなりました。主力車種のモデルチェンジから時間が経過し、新型車効果が薄れたことが要因とみられます。軽の販売減少は、中古車市場においては別の意味を持ちます。近年、軽自動車は輸出需要が高まっており、国内での供給が細れば、むしろ相場を押し上げる可能性もあります。

 一方、新車販売の増加は中古車の発生源である下取り車の増加につながるため、6月以降は中古車供給量が増える見通しです。4月の中古車登録・届出台数は54万4120台と前年同月をわずかに下回りましたが、登録車は微増を維持しており、供給の底上げが徐々に進んでいる兆しが見られます。



新車販売台数月間推移25年vs26年比較

出所:日本自動車販売協会連合会 全軽自動車協会
出所:日本自動車販売協会連合会 全軽自動車協会


中古車登録・届出台数月間推移25年vs26年比較

出所:日本自動車販売協会連合会 全軽自動車協会
出所:日本自動車販売協会連合会 全軽自動車協会


【輸出市場の不透明感と相場の行方】


 中古車相場は連休明けも7日間移動平均が高値圏を維持しており、足元の需給は依然としてタイトです。4月時点では輸出バイヤーの応札力も強く、一部の港では搬入制限がかかるほど勢いが続いていました。マレーシア向けは連休明けにやや弱含んだものの、全体の流れを左右するほどではなく、3月実績は日本の中古車輸出の底力を改めて示す内容でした。

 しかし、5月に入り状況に変化が生じています。スリランカが5月16日から3カ月間、自動車の関税を50%引き上げました。中東紛争による通貨安を背景とした措置で、ここ1年輸出を牽引してきた同国の需要が鈍る可能性があります。UAE、パキスタンに続き、主要仕向け国の不安定化が進む点は無視できません。

 とはいえ、アフリカ、南米、ロシアなどでは需要拡大が続いており、輸出全体が急減する状況ではありません。むしろ、地域ごとの強弱がより鮮明になる局面と言えます。総合すると、6〜7月頃までは環境性能割の影響で供給が増え、相場はやや軟化する可能性がありますが、年後半は輸出需要が再び強まり、相場が上昇に転じるシナリオも十分に考えられます。しかし、中東情勢をはじめとする地政学リスクは予断を許さず、市場はこれまでにないほど不安定な状態にあります。


ここがPOINT!


 4月の新車販売増により、6月以降は中古車供給が増える見通しです。相場は一時的に緩む可能性がありますが、軽自動車の供給不足や輸出市場の地域差など、上昇要因も残っています。年後半は輸出需要の再加速により相場が再び強含む可能性が高く、地政学リスクの影響次第では急騰の可能性も否定できません。販売を強化するなら夏まで、秋以降は買取強化へシフトする戦略が有効と考えられます。


2026年6月号

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