業界レポート7月号② Vol.80
- 2 日前
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本レポートでは、オークネット会員様のビジネスのお役に立てますよう、大きなターニングポイントに差し掛かっている自動車産業にフォーカスした情報をタイムリーにお届けします。
執筆・編集:特定非営利活動法人 自動車流通市場研究所 理事長 中尾 聡
【国内中古車流通の最新動向】
5月の中古車登録・届出台数は48万1994台と前年同月比4.8%減となり、3か月ぶりに前年割れへ転じました。特に登録車は1977年の統計開始以来、5月としては下から2番目の低水準で、年初から続いた新車販売の不振が中古車供給を押し下げました。一方で、4月以降は環境性能割の廃止や新型車投入を背景に新車販売が回復し、6月以降は下取り車の流入増加が見込まれます。オークションでも出品台数が増え始めており、供給環境は改善の兆しが見られます。ただし、中東情勢や輸出市場の混乱など、需給を揺さぶる要因も多く、市場は不安定な局面にあります。
【下取り車不足から一転、増加局面へ】
5月の中古車登録・届出台数は48万1994台と前年同月比4.8%減となり、特に登録車は歴史的な低水準に落ち込みました。背景には、1〜3月の新車販売が前年割れで推移し、下取り車の発生が細ったことがあります。軽自動車は比較的堅調だったものの、登録車の不振が中古車供給を大きく押し下げました。
しかし、4月以降は環境性能割の廃止や新型車・改良モデルの投入が追い風となり、新車販売は回復基調にあります。下取り車が中古車市場に流入するまでには、登録し納車してから、1.5か月程度のタイムラグがあるため、6月に入りオークション出品台数が増加しているとの声が現場から聞かれます。また、4月のオークション出品台数は前年比で二桁増となりましたが、これは本来需要期である1〜3月に新車が伸び悩んだことで、中古車から中古車への代替えが増えた影響とみられます。
ただし、この供給増がどこまで続くかは不透明です。環境性能割の廃止により一部車種で10〜15万円程度の割安感はあるものの、中東情勢の影響で新車製造コストが上昇し、価格転嫁は避けられません。新車価格が再び上昇すれば、販売は再び鈍化し、下取り車の発生も連動して減少します。供給改善は一時的で、再び供給不足に陥る可能性も十分に考えられます。
中古車登録台数&届出台数2026年1月~5月実績(前年比)

オークション出品台数&成約率2026年1月~4月実績(前年比)

【高値圏維持の裏で進む“需給のねじれ”】
3月以降の中東情勢悪化に伴う原油価格の高騰を受け、国内外で燃費性能に優れる高年式HVや軽自動車の需要が高まっています。この影響で中古車相場は依然として高値圏を維持しており、オークション成約率も全月で前年を上回るなど、足元の需要は強い状態が続いています。
輸出市場では、ホルムズ海峡封鎖により最大仕向け国であるUAE向けは大幅に減少しましたが、その減少分を他の仕向け国が吸収したことで、輸出台数全体としては微減にとどまりました。一方でFOB単価は大幅に上昇し、輸出額は過去最高水準を更新しています。台数はやや落ち込んだものの、単価の高騰が全体を押し上げ、年間ベースでは2兆円を大きく超える勢いです。スリランカでは5月に関税が引き上げられたものの、輸出者からは「禁止されない限り強気で買う」との声が聞かれ、依然として旺盛な需要が続いています。
一方で、連休明け以降、国内の港湾では中古車が滞留し、搬入制限がかかるケースも増えています。ホルムズ海峡封鎖という地政学リスクが世界的な物流に影響を及ぼし、日本の港湾にも混乱が波及しているためです。港湾以外にヤードを持つ大手輸出事業者は仕入れを継続していますが、港湾搬入が前提の事業者は仕入れを抑制せざるを得ず、需要の一部が抑え込まれている状況です。供給は改善しつつある一方で、需要は地政学リスクと物流混乱に左右される“ねじれ”が生じており、相場は一時的に落ち着く可能性があるものの、秋以降は再び大きく動く可能性があります。
中古車輸出&FOB平均単価2026年1月~4月実績(前年比)

ここがPOINT!
6月以降、中古車供給は増加に向かっていますが、その継続性には不透明感があります。新車価格の上昇が再び販売を冷やせば、下取り車の発生も減少し、供給は再び細る可能性があります。一方、需要面では原油高を背景にHVや軽自動車が引き続き強く、輸出市場ではUAEの代替仕向国やスリランカが相場を支えています。港湾滞留による一時的な混乱はあるものの、秋以降はUAEやパキスタンの需要回復が見込まれ、輸出需要が再び強まる可能性があります。供給増と需要回復が重なれば、相場が大きく動く局面を迎える可能性があります。
2026年7月号
