top of page

業界レポート10月号① Vol.83

14 時間前
読了時間: 4分

Ⅰ 自動車流通のトレンド



 本レポートでは、オークネット会員様のビジネスのお役に立てますよう、大きなターニングポイントに差し掛かっている自動車産業にフォーカスした情報をタイムリーにお届けします。

執筆・編集:特定非営利活動法人 自動車流通市場研究所 理事長 中尾 聡



「国産EV販売の急伸でCEV補助金が年内終了の可能性」


 国産EVの販売が想定以上に好調に推移していることを受け、CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)の申請受付が早ければ12月上旬にも終了する見通しが示されました。補助金は新車市場の需要を左右する大きな要因であり、終了後には反動減が生じる可能性があります。今回は補助金終了の背景と今後の新車市場への影響をレポートしてみます。


国産EV販売の急伸と補助金制度の不安定化


 

 2026年9月4日、次世代自動車振興センターはCEV補助金の申請受付が「12月上旬〜下旬をめどに終了する見込み」であると公表しました。補助金は予算額に達した時点で前日到着分までで締め切られるため、今回の見通しは“確定期限”ではなく、申請状況によって前後する可能性があります。

 背景には、国産EVを中心とした販売の急伸があります。2026年1〜8月のEV販売台数(乗用車)は前年同期比2.3倍の8万1158台に達し、年間で初めて10万台の大台を突破する見通しです。トヨタ「bZ4X」、ホンダ「スーパーワン」、テスラ「モデルY」など補助額の増加による恩恵を受けた車種が販売を牽引しています。

 補助金制度自体も不安定さを抱えています。これまでCEV補助金は当初予算と補正予算を組み合わせて切れ目なく執行されてきましたが、高市政権は補正予算の編成を見送る可能性があり、今年末から来年3月頃まで“空白期間”が生じる懸念が出ています。経済産業省は2027年度概算要求で1100億円を求めていますが、補助金の継続性は依然不透明です。補助金の評価基準も2026年4月に見直され、電池の国内生産計画など経済安全保障の観点が重視されるようになりました。こうした制度変更と販売好調が重なり、予算消化が急速に進んでいるとみられます。



補助金終了後の需給変化と新車市場の行方


 足元では補助金効果によりEV販売が過去最高水準を維持していますが、補助金終了後には一定の反動減が生じる可能性があります。補助金は登録後に申請する仕組みであり、納期次第では補助金が間に合わないケースも生じます。  

 特に12月登録予定の車両は、申請書がセンターに届く前に予算が尽きれば補助を受けられません。次回の申請受付が当初予算成立後の4月以降となれば、年末〜3月末まで補助金がない期間が生じ、EVの販売勢いは一時的に鈍化する可能性があります。

 今回の補助金効果は2009年のエコカー補助金によるHVブームを想起させます。当時、補助金と同時期に発売された3代目プリウスは戦略的な価格設定でヒットし、HV市場が急拡大しました。今回もbZ4Xが補助額130万円となり、同クラスSUVより100万円安く購入できるなど、価格競争力が大きく向上しています。自治体補助金を併用すれば、さらに安く購入できるケースもあり、EVの“買い得感”が需要を押し上げています。

 また、ホンダ「スーパーワン」が先行予約7000台を獲得するなど、国産EVの新型車効果も市場を刺激しています。ガソリン車のような運転感覚を楽しめる商品性や、339万円という価格設定に対し補助金満額130万円が支給されることが支持され、想定通り50歳代男性を中心に需要が広がっています。こうした新型車の投入と補助金の組み合わせが、現在のEV販売急伸を支える大きな要因となっています。


09年の補助金効果によって、飛躍的に販売を拡大させた3代目プリウス
09年の補助金効果によって、飛躍的に販売を拡大させた3代目プリウス

ここがPOINT!


 CEV補助金は12月上旬にも終了する可能性があり、国産EVの販売急伸と制度変更が予算消化を早めています。補助金の空白期間が生じれば新車EVの販売勢いは一時的に鈍化する可能性があり、制度の継続性が市場の不確実性を高めています。新型EVの投入や補助額増加によって価格競争力が高まり、需要が急速に拡大している点を踏まえると、補助金終了後の需給変化を注視することが重要です。

2026年10月号

オークション・市場

​サービス一覧

東京都公安委員会 古物市場主許可第301001102112号 古物商許可第301001105434号 株式会社オークネット

bottom of page