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業界レポート10月号③ Vol.83

21 時間前
読了時間: 3分

Ⅲ どうなってるの中古車輸出



 本レポートでは、オークネット会員様のビジネスのお役に立てますよう、大きなターニングポイントに差し掛かっている自動車産業にフォーカスした情報をタイムリーにお届けします。

執筆・編集:特定非営利活動法人 自動車流通市場研究所 理事長 中尾 聡



「中古車輸出2026年上期の総括と今後の展望」


 2026年上期の中古車輸出は、地政学リスクと海運混乱が続くなかでも台数・金額ともに堅調に推移しました。平均単価は大幅に上昇し、輸出額は上期として初めて1兆円を突破しました。一方で主要仕向国の順位は大きく変動し、下期は海運ルートの不安定化が懸念されます。前回は6月の異例の高実績を緊急レポートしましたが、今回は改めて上期全体を総括し、下期および中期的な市場展望をレポートします。


中古車輸出2026年上期の総括


 2026年上期の中古車輸出台数は85万6677台となり、前年同期を3万台強上回り、過去最高を更新しました。世界的な海運事情の悪化が続くなかでも、中古車需要は底堅く推移し、台数ベースでは安定した拡大を示しました。

 特に顕著だったのは輸出額の伸びで、平均単価は122万2千円と高水準を記録しました。2020年の50万円台からわずか6年で2.4倍へと上昇し、上期の輸出額は1兆468億円と過去最高となりました。ロシアではルーブル安を背景に日本車への投機的需要が高まり、スリランカやマレーシアなど高年式車を求める国が単価上昇を押し上げました。

 国別では、航路の影響を受けにくいロシアが首位となり、前年トップのアラブ首長国連邦(UAE)は海運混乱の直撃を受けて大幅減となりました。ただし、UAE経由でアフリカへ再輸出されていた分がタンザニアや南アフリカ共和国へ直接輸出され、全体の減少を補いました。また上位20カ国のうち16カ国が前年同期を上回り、世界的に日本の中古車需要が強いことが確認できる半年でした。


2026年上期(1月~6月)中古車輸出仕向国ベスト20



中古車輸出今後の見通し


 最新の7月実績は前年同月比6.9%減となり、海運事情の悪化を反映した落ち着いた水準となりました。6月の異例の高実績が例外的であった可能性が高く、下期はこうした減速傾向が続くとみられます。また、円安基調を支えていた日米金利差が縮小しつつあり、円高圧力が強まっている点も輸出環境の不確実性を高めています。

 さらに、ホルムズ海峡に代わる重要ルートとなっているバブエル・マンデブ海峡でも封鎖が発生し、紅海ルートの機能不全が懸念されています。スエズ運河を経由する航路は中古車物流にとって重要であり、影響は小さくありません。加えて、パナマ運河でも水位低下を理由に通航制限が始まる見込みで、主要海運ルートが複数同時に不安定化する可能性があります。

 こうした状況から、下期は上期ほどの勢いは期待しにくいものの、需要自体は依然として強く、通年では前年並みの水準を維持できると見込まれます。

 近年、中国EVの存在感は増していますが、ニュージーランドやオーストラリアでは日本の中古ICE・中古HVへの回帰も見られ、日本車の信頼性は揺らいでいません。2030年には200万台規模へ成長する市場であるとの見通しは変わらないと考えています。


2020年~2026年上期(1月~6月)

中古車輸出台数&平均輸出単価推移

出所:財務省貿易統計 
出所:財務省貿易統計 


2020年~2030年

中古車輸出台数&輸出額推移と見通し


出所:2020年~2025年 財務省貿易統計 
出所:2020年~2025年 財務省貿易統計 

2026年~2030年 自流研の見通し


ここがPOINT!


2026年上期の中古車輸出は台数・金額ともに過去最高となり、平均単価の上昇が輸出額を押し上げました。一方で海運混乱が主要国の順位を大きく変動させ、下期は複数の航路で不安定化が続く見通しです。ただし需要は依然として強く、通年では前年並みを維持し、2030年に向けて成長軌道は揺らいでいないと考えています。


2026年10月号

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