トヨタ ランドクルーザー①【思い出の車列伝】
- info-am
- 2024年5月30日
- 読了時間: 5分
更新日:1月10日

その信頼性の高さから
海外での評価は絶大
●トヨタ ランドクルーザー
オフローダーとしての信頼性には一目置くが、その大きさに国内で乗るには躊躇すると言う、テリー伊藤さん。
さて、そのランドクルーザーには、どんな期待をしているのだろうか。
Interviewer: Koichiro Okamoto (Motor Joumalist)
Photographs: Katsuaki Tanaka
ティラミスもいいんだけど 実は団子のほうがよかった
ランクルがもてはやされるようになったのはこの 20 年ぐらいの話だよね。それまではあまり誰も注目していなくて、クルマ雑誌でランクル特集なんて聞いたことなかったよ。
僕が初めて買ったパジェロは当時、パリダカに出たりして光輝いていたよ。かたやランクルはその頃、電力会社とかダムの現場の人が乗っているイメージで、蚊帳の外だった。中には僕のまわりでランクルがいいと言っている先見の明がある人もいたけどね。
でもトヨタは老舗の団子屋さんのように、ユーミンやYMOのオシャレな音楽が流れて、みんながティラミスだナタデココだと言っていた時代にも、ひたすら地道に団子を作り続けていたんだ。
やがてみんな気がついた。ティラミスもいいけど、団子も悪くない。いやいやひょっとして団子のほうが断然いいんじゃない? みたいな感じになってきたわけだ。
僕だってもしサハラ砂漠を走破するとか大陸を横断することになったら、ゲレンデやレンジローバーよりも迷わずランクルを選ぶよ。だって一番信頼できてどこへでも行けそうな気がするじゃない?
海外でも高く評価されているのは、それだけちゃんと性能を持っていることが認められたからだ。そこはたいしたものだと思うよ。
そういえば、かつてライバルだったパジェロやサファリも復活するらしい情報もあるよね。日本はEVで出遅れたとかミニバンと軽自動車だらけだとか言われているけど、ハイブリッドカーで世界をリードしているように、ランクルとパジェロとサファリでオフローダーの分野でも目にものを見せてくれるといいのにと思っているよ。
日本で全幅2mは大きすぎ ランクルの〝ミニ〟に期待
ただ、日本で乗るには大きすぎる。せっかくすばらしいクルマなのに、全幅が2m近くあると都内で乗れたものじゃない。自動車評論家たちも褒めるばかりで取り回しが悪いことには触れない。僕も試乗するたび、本当にクルーザーに乗るかのように感じているよ。
そもそも日本にはジムニーを必要とする人は大勢いるだろうけど、海外のようなランクルじゃないと走れない生活環境なんて存在しないのにね。
300だと大きくておっくうだという人のためにプラドがあったのに、新しい250は全幅が2m近くて、サイズ的には300と大差ない。デザインはとても気に入っているけど、僕には買えないな。
価格が予想よりも高いのにも驚いた。300が割安に思えてきたよ。
それでも僕とは違って、多少でかくて高くても欲しいという人は大勢いる。そこで問題になるのが、受注の制限と納期の遅れだ。注文すること自体からして難しいようだし、注文できても納車まで年単位の時間がかかると、納車される頃にはもうしらけちゃうよね。
限定販売じゃないので、注文すればいつかは手に入るとはいえ、欲しいという人はできるだけ早く行動を起こしたほうがいいと思うよ。
新型は高価だし待つものいやだという人には中古車だ。300万円台ぐらいから豊富に選べる。年式の割には高いけど、頑丈なクルマだから古くてもぜんぜん大丈夫。ランクルの世界観を楽しむには十分だ。
実は僕自身もカスタマイズした80とか旧い60あたりに乗りたいなと思っているところだよ。今ほど大きくないし、今見るとオシャレだよね。
あるいはよくスクープ情報が出ているミニもとっても気になっているよ。もうしばらく時間がかかりそうだけど、そのうちに出てくるのは間違いない。
「ランクル」を名乗るからにはそれなりに本格的な内容で出てくるだろうけど、個人的にはラダーフレームかどうかはどちらでもかまわないと思ってるよ。なにより大事なのは、価格はもちろんとして、デザインがイチバンだ。ランクルの雰囲気を誰でも手軽に味わえるクルマになるといいよね。
いずれにしても、生産体制を整えて納車待ちの時間が少しでも短くなるよう願うばかりだ。
ミニ
日本で未発売のラダーフレームを持つ新興国向けトラックをベースとし、ボディサイズはカローラクロス程度となる見込み。車名には「FJ」と付く可能性も。このクラスでは貴重な本格的オフローダーとして注目を集めそうだ。
進化するランクルをご紹介!
注目のトヨタ ランドクルーザー
Lite Duty

●90系プラド(1996年)
ヘビーデューティ系とステーションワゴン系の間を埋める位置づけで、1990年のプラドを皮切りにラインアップに加わる。悪路走破性と扱いやすさを兼ね備え、世界中の多くの人々の生活を支える役割と使命を担っている。

●150系プラド(2009年)

●250系(2024年~)
今後のランクルの中核モデルとして、高級豪華路線にシフトしていた従来のプラドに対し、ユーザーが求める本来の姿に戻すべく「原点回帰」をキーワードに開発。300シリーズと同じGA-Fプラットフォームを採用。
Heavy Duty

●70系(1984年)
ランクルの伝統と本質を継承し、業務用途を主体にランクルの普遍的な価値である信頼性、耐久性、悪路走破性を一途に追求し続け、世界中の過酷な環境下での多様な用途に応えながら、人々の暮らしを脈々と支え続けてきた。

●70系(2014年)

●70系(2023年~)
1984年に誕生。2004年の国内販売終了後も海外向けの生産は継続していたところ、誕生30周年となる2014年に期間限定で国内再販された。さらにこのほど先進運転支援装備を充実させるなど進化を図り国内再導入が決定した。
オークマン2024年6月号掲載記事







