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シボレー・カマロ①【思い出の車列伝】

更新日:10月23日


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時代に翻弄されつつも

記憶に残る車


シボレー・カマロ


若き日のテリー伊藤さんを魅了したシボレー・カマロ。

いつの時代にもGMのスペシャリティーカーとして

存在していてほしいといいます。

期待を込めて、その姿を夢想していただきました。

Interviewer: Koichiro Okamoto (Motor Joumalist)

Photographs: Katsuaki Tanaka


こっそり兄貴の愛車で

夜の六本木に繰り出した

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カマロといえば、昔からあるし知らない人はいないと思うけど、実はウチにもあったんだ。昭和40年代の終わり頃、兄貴がパプリカ→ヨタハチ→510ブルと乗り継いで、ブルーの2代目カマロを買ったんだ。それはそれは衝撃的だったものだよ。

 当時は日本車とは比べものにならないほど高かったはず。それでも買ったのは、伊藤家は他にお金を使うすべもないし、ちょうど兄貴の結婚が決まって、見栄えするクルマが欲しいってことで、多少ムリをしたんだと思う。さすがにV8には手が届かなかったけどね。

 兄貴はバカみたいに大事にしていて、クルマというのは乗るものじゃなくて磨くものだ、ぐらいの感じで、当時大学生だった僕には一切貸してくれなかったよ。燃費が悪いから、あまり乗りたくなかったのかもしれないけどね。

 でも兄貴は夜10時ぐらいになると寝ちゃう。そこを見計らって、たまにこっそり鍵を拝借して駐車場からカマロを出して、夜の六本木を徘徊して女の子に声をかけたりしてたんだ。

 バレるとまずいからそれほど頻繁ではなく、数えるほどだけどね。まあ、実はバレていたのに兄貴は見て見ぬふりをしていたのか、本当にバレていなかったのか分からないけど、一度も何も言われたことはないよ。

 途中で雨が降ってきて、帰ってそのままにしておいて翌日駐車場に行ったら明らかに雨の中を走ったのような跡がついていて焦ったこともあったよ。でも何も言わなかったのは兄貴の優しさだろうね。

 当時は大きいことが偉い時代だったし、カマロもあの大きさがよかった。そういえば大学の同級生で千葉の海沿いの街でガソリンスタンドを経営している家の子もカマロに乗っていたよ。

 今だったら裕福な家の子はBMWとかアウディ辺りを買うだろうけど、当時はアメ車のほうが分かりやすかったからね。ガソリンスタンドって儲かるんだなと思ったよ。


次の復活では

タイアップを強化すべき


やがて80年代になると、カマロは値段も安くなって、輸入車の入門的なイメージで街中でも頻繁に見かけるようになった。ただ、トランザムのほうが偉いという印象があったし、ドイツ車が台頭したりして、ありがたみとしては薄れていったよね。

 僕もクルマがらみの仕事もやっていたから、たまに乗る機会はあったけど、高速道路ではフラフラして疲れちゃって、目的地に着いたらホッとしたものだよ。新しくなるとだんだん走りもよくなったけどね。

 そしたら知らないうちに生産が終了して、何年も音沙汰がなくて、せっかく復活して映画の『トランスフォーマー』で盛り上がっていたのに、今また生産終了だもんな。

 連綿と続いているマスタングを見習ってほしいよ。たとえ販売で負けてもGMのスペシャリティカー代表としてカマロも常にそこにいるべきだ。

 その5代目カマロは中古車の相場がずいぶん上がっている。やっぱりそれだ! カマロ復権のカギはそこにある。

 例えば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出たデロリアンなんて、もし映画がなかったらぜんぜん相手にされてなかっただろうし、アストンマーティンだってボンドカーじゃなければとっくに消滅していたかもしれない。トランザムはなくなってしまったけど、『ナイトライダー』のおかげで今やかなり高値だ。

 カマロだってもっと映画をうまく活用したほうがいい。オモチャの模型のように変身する実物大のカマロを作れば絶大なインパクトがあるし、それを合法的にアレンジして売ってくれたら最高だ。いざとなれば変身できるカマロが買えるなんて、みんな大喜びだよ。

 次にカマロが復活するときには、『トランスフォーマー』とのタイアップを強化して、誰もがアッ! と驚くようなことをぜひやってほしい。期待してるよ!


歴代カマロをご紹介!


シボレー・カマロの変遷


●初代(1967年~1969年)

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フォード・マスタングの対抗馬としてGMが送り出した初代は、そのマスタングには及ばなかったものの1967年から70年の3年間、毎年20万台超の販売を達成した。「RS(=Rally Sport)」、「SS(=Super Sport)」、レース対応の「Z/28」など走り系のモデルが充実していた。

●2代目(1970年~1981年)

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歴代最長となる12年間にわたり現役を務め、日本にも初めて正規輸入された。アメリカンマッスルカーの黄金期からオイルショックや排ガス規制への対応に奔走した世代でもある。流麗なファストバックとなり、74年のフェイスリフトで大型バンパーが採用された。

※写真は前期モデル

●3代目(1982年~1992年)


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2代目よりも小柄になり、角目4灯が印象的なすっきりとしたデザインに。従来のボディオンフレームから「Fボディ」と呼ぶモノコックボディを採用した最初の世代でもあり、電子制御化も進められた。エンジンは2.5L直4から高性能版の「IROC-Z」の5.7L V8まで多彩。

●4代目(1993年~2002年)

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3代目の延長上で、「Fボディ」を踏襲しつつ、従来の角ばったデザインから曲面を多用した流麗なスタイリングは日本の奥山清行氏の手による。エンジンは3.4L→3.8L V6と種類の異なる5.7L V8。高性能版の「SS」が復活した。これにてカマロの歴史は一旦中断した。

●5代目(2009年~2015年)

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7年ぶりに復活した5代目は、新しい「Zeta」プラットフォームを採用し、初代を彷彿とさせるデザインをまとい、映画『トランスフォーマー』に出演したことで注目を集め大人気を博した。580psの6.2L V8スーパーチャージャーを搭載する「ZL1」も話題となった。

●6代目(2015年~2024年)

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わずか5年でモデルチェンジ。従来より若干コンパクトで、よりマッシブなスタイルとなる。新しい「Alpha」プラットフォームの採用や材料置換により90kg超の軽量化に成功した。新開発の2.0L直4ターボも選べ、「ZL1」は650psに。再びカマロの歴史は中断する。




写真提供:GMジャパン


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