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シボレー・カマロ②【思い出の車列伝】

  • info-am
  • 10月23日
  • 読了時間: 5分

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時代に翻弄されつつも

記憶に残る車


シボレー・カマロ


車名は誰もが知っているカマロ。

時代の渦の中で様々な立ち位置をつかみ、

半世紀以上にわたり輝き続けてきた。その本質を

モータージャーナリストが解説します。


Text : Koichiro Okamoto(Motor Journalist)


これほど華のあるクルマが

日本車並みの低価格だった


ライバルであるフォードが1964年に発売して大ヒットしたマスタングの対抗馬として、GMが67年に送り込んだのが初代カマロだ。

 件のマスタングやダッジのチャレンジャーのように強力な他社の競合車だけでなく、身内にもコルベットのような花形選手がいたり、微妙に位置づけが上のトランザムがいたりする中で、カマロもまた独自のポジションで存在感を発揮してきた。

 分かりやすいクルマだったことから日本でのカマロの知名度は2代目の頃からかなり高かった。続く3代目はほどよくダウンサイズしたことや価格が控えめだったこともあり、かなり売れた。

 3代目は従来のボディオンフレーム構造から脱却して軽量なモノコック構造を採用した初のモデルであり、走りも燃費も劇的に向上した。また、燃料噴射システムや電子制御技術を初めて本格的に導入した世代でもある。

 その流れを受け継いだ4代目の頃には、円高でさらに価格がどんどん下がり、これほど華のあるクルマが一時は日本車のデートカーと大差ない価格で買える時代もあった。

 曲線を多用して空力性能を高めたオシャレなスタイリングは、日本のケン奥山こと奥山清行氏がデザインを手がけたことも話題となった。

 1998年にフェイスリフトし、よりモダンなデザインと新しいエンジンが与えられた。高性能版に搭載された「LT1」と呼ばれるエンジンは当時のコルベットと同じもので、ずっと低い価格でコルベット譲りの高いパフォーマンスを味わえる点でも目が向けられた。

 アメリカンマッスルカーのムードを漂わせていた往年のカマロから、3~4代目はその雰囲気を残しつつもヨーロピアンテイストを加えて内容的にも一気に現代的になり、走りのほうもアメ車と聞いてイメージするものとは違った現代的なドライブフィールとなった。


『トランスフォーマー』効果で

復活した5代目は大人気に


2025年秋時点でカマロは絶版となっているが、カマロが不在となるのは、これが初めてではない。4代目が生産終了となった2002年から5代目が登場する2009年まで、7年あまりも中断した期間があった。

 その5代目は、初代をオマージュしたデザインが特徴で、しばらくファストバックだったのがノッチバックに回帰したのも見てのとおりだ。

 ちょうどこの頃、日本のフェアレディZや好敵手のマスタングも往年の世代をモチーフとしたデザインを採用して成功を収めたが、その中でも映画『トランスフォーマー』に「バンブルビー」として登場したことで、若い世代にも広く認知されるようになった。これによりカマロの復活は大きな成功を収め、米国内外で絶大な人気を獲得した。

 カマロの歴史では最短となる約6年のモデルライフを経て、その発展版として登場した6代目は、新しいプラットフォームを採用し、ボディサイズもややコンパクトになり、軽量高剛性化を実現したことで、走行性能が大きく向上した。

 一方で、5代目をよりアグレッシブにしたようなスタイリングは、筆者は個人的には好みなのだが、ファンからはあまり芳しくない声も小さくなかったという。なかなか難しいものだ。

 販売的にマスタングにだいぶ及ばなかったことが、再度絶版となった主要因と見られる。とっつきやすいメジャーなクルマでありながら、実は意外とナイーブで、時代に翻弄されてきたのがカマロの歴史だったりする。

 カマロほどの存在がこのまま消滅ということは考えにくく、今頃GMの開発陣たちは、どうすれば次期カマロを魅力的なクルマにできるかというのを侃々諤々で議論しているに違いない。


モータージャーナリストの視点!


 歴代を通して流通台数は豊富にある。しかも日本に正規輸入されていなかった初代もかなり多い。少し前まではアメ車の入門用の代表といわれていたカマロだが、このところ全体的に相場が上がって、あまりそういう雰囲気でもなくなってきた。比較的新しい5代目や6代目は絶版となったことを受けてかここ2~3年でグンと上がり、かつては2桁万円台の個体が豊富に見られた3~4代目までもがけっこうなプレミア相場となっている。パーツの供給やメンテナンスの対応は比較的安定しており、価格は上がっても興味のある人には背中を押せる車種であることに変わりはない。



各世代のウリはここだ!


●3代目(1982年~1992年)


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日本での販売台数が劇的に増加

● 大幅なダウンサイズ

● 初のモノコックボディ

● 電子制御の進化


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旧モデルに対して、全長で205mm、全幅で30mm、全高で15mm縮小された。またモノコックボディを採用することで内部空間を広く取り、軽量化により走行安定性の向上にもつなげた。

中古車小売り価格帯

250万円~350万円

●4代目(1993年~2002年)


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曲面多用の流麗なスタイリング

● 奥山清行氏がデザイン

● 円高で300万円以下に

● 高性能版の「SS」が復活

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4代目後期にはSSと呼ばれる高性能グレードが復活した。走行風を利用するラムエア過給エンジンを搭載して出力を向上させたモデルだが、日本には正規輸入されていなかった。


中古車小売り価格帯

100万円~200万円

●5代目(2009年~2015年)


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『トランスフォーマー』で人気者に


● 初代を彷彿とさせるデザイン

● 超高性能モデル「ZL1」を設定

● 異例の6年でモデルチェンジ


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5代目は、原点回帰ともいえるデザインが特徴。2007年公開の映画『トランスフォーマー』に起用され人気車になった。しかし登場から6年後にフルモデチェンジされ、6代目に移行。


中古車小売り価格帯

250万円~500万円


●6代目(2015年~2024年)


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小型軽量化と高性能化を実現

● 2.0L直4ダウンサイジングターボ

● 材料置換などにより90kg超の

 大幅な軽量化を達成

● 現代的インフォテインメント

 システムを搭載


外観は先代のイメージを継承しつつ、エンジンは6.2L V8に加え、2.0L 直4ターボにダウンサイズしたものを設定。90kg超軽量化したボディと相まって、今まで以上の軽快な走りを実現。



中古車小売り価格帯 240万円~800万円


写真提供:GMジャパン


オークマン2025年11月号掲載記事

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